都市計画法の問題

今年の二級建築士学科試験の試験会場では、受験生の検温や体調確認を行うなど、例年とは違った緊張感があったようです。当然、一級や製図試験でも同様の措置がとられると思いますので、健康管理には十分に気を付けていきましょう。

今日の法規は、都市計画法の問題です。
受験生にとっては読みづらい分野だと思いますが、ここでの得点は合格点に向けて非常に大きなものとなるはずです。

 

学科Ⅲ(法規)(1級過去問 H30)
問 次の記述のうち、都市計画法上、誤っているものはどれか。
  1. 都市計画区域内又は準都市区域内において、図書館の建築の用に供する目的で行う開発行為で、その規模が4,000㎡のものについては、都道府県知事の許可を受けなければならない。
  2. 市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内における仮設建築物の新築については、都道府県知事の許可を受ける必要はない。
  3. 都市計画施設の区域内において、地階を有しない鉄骨造、地上2階建ての建築物を改築する場合は、原則として、都道府県知事等の許可を受けなければならない。
  4. 地区整備計画が定められている地区計画の区域内において、建築物の用途の変更を行おうとする場合に、用途変更後の建築物等が地区計画において定められた用途の制限及び用途に応じた建築物等に関する制限に適合するときは、当該行為の種類、場所、着手予定日等を市町村長に届け出る必要はない。

 

 

(解答・解説)
  1. 都市計画法(以下、都計法)第29条第1項第三号、都計法施行令第21条第十七号により、図書館の建築の用に供する目的で行う開発行為においては、都道府県知事の許可を受ける必要がありません。よって、誤った記述となります。
  2. 都計法第43条第1項ただし書第三号により、正しい記述です。
  3. 都計法第53条第1項により、正しい記述です。
  4. 都計法第58条の2第1項、同法施行令第38条の4第一号( )書により、正しい記述です。

従いまして、答えは1.となります。

色彩の問題

学科Ⅱ(環境・設備)において、色彩系の問題は得点源になりやすい傾向にあります。
下のような問題は、是非とも得点したい問題の一つです。
ある意味、合否を左右する問題と言えるかもしれません。

 

学科Ⅱ(環境・設備)(1級過去問 H25)
問 色彩に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. JISの安全色の一般的事項における「緑」の表示事項は、「指示」及び「用心」である。
  2. マンセル表色系において、マンセルバリューが5の色の視感反射率は、約20%である。
  3. 物体の表面色の見え方は、見る方向によって異なることがある。
  4. 視認性は、注視している対象がはっきり見えるか否かに関する属性であり、視対象と背景色との間の明度差の影響を大きく受ける。

 

(解答・解説)
  1. JISの安全色の一般的事項における「緑」の表示事項は、「安全」、「避難」、「衛生」・「救護」、「進行」です。設問の「指示」、「用心」は「青」の表示事項ですが、JIS改正に伴い、「用心」が「誘導」に変更になっていますので注意が必要です。よって、誤った記述となります。よく出題される組合せとして、「緑」-「進行」「青」-「指示」がありますので、確認しておきましょう。
  2. 色の反射率ρは、マンセルバリュー(明度)をVとすると、ρ≒V(V-1)(%)(ただし、Vが3~8の場合)で略算できます。よって、設問の場合は、ρ≒5(5-1)≒20%となり、正しい記述です。
  3. 正しい記述です。
  4. 視認性に対する明度差の影響は大きいので、正しい記述です。
従いまして、答えは1.となります。

取りこぼしてはいけない計画の問題

昨日は、二級建築士学科試験の本試験でした。
難易度としては、ほぼ例年通りだったようです(恐らく各教科の足切り点は13点、基準点は60点になるものと思われます)。自己採点の結果、合格点に届いている場合は、即製図試験の準備をしましょう! 毎年、学科試験で燃え尽きてしまう卒業生がいますが、当然のことながら製図試験を突破しないと二級建築士にはなれません。大変にキツい試験ですが、これが建築士試験です。もう一度気合いを入れ直して精進していきましょう。
今年の二級建築士製図試験についてはコチラ

また、自己採点の結果、不合格となってしまった場合は、今一度、今までの自分の勉強スタイルというものを見つめ直し、今後のことを考えていきましょう。可能であれば、来年度に向けて諦めずに頑張ってほしいと思います。

そして、今度は一級学科の本試験(7/12(日))がやって来ます。自分が把握している限りにおいて、専門学校の卒業生では5名程が挑戦する予定です。
とにかく取りこぼしをしないこと!
これに尽きます。
そういう意味で、下の問題は、絶対に取りこぼしてはいけない代表格の問題です。勉強の合間の息抜きにでも気楽に解いてみて下さい。

 

学科Ⅰ(計画)(1級過去問 H25)
問 住宅に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー構造を有し、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスの提供等に関して一定の基準を満たし、単身高齢者世帯、高齢者夫婦世帯等の居住の安定を確保するための賃貸等の住宅である。
  2. コレクティブハウスは、各住戸の独立性を保ちながら、子育てや家事等の作業を共同で担い合う相互扶助的なサービスと住宅とを組み合わせた集合住宅である。
  3. シルバーハウジング・プロジェクトは、高齢者の生活特性に配慮した住宅及び附帯施設の供給並びにライフサポートアドバイザーにより福祉サービスの提供を行う地業である。
  4. コーポラティブハウスは、建築主が入居希望者の意見に従い建築する賃貸集合住宅である。

 

 

(解答・解説)
  1. 設問は、正しい記述です。
  2. 超頻出の設問です。正しい記述ですので、頭に叩き込んでおきましょう。
  3. 設問は、正しい記述です。
  4. 超頻出の設問です。コーポラティブハウスとは、自ら居住するための住宅を建設しようとする者が組合を結成して、企画・計画から建設・入居・管理まで行う協同組合運営方式の集合住宅です。設問は、誤った記述となります。

従いまして、答えは4.となります。

以上、「コレクティブハウス」と「コーポラティブハウス」の違いに関する出題に対しては、必ず得点できるように明確にしておきましょう!
意外にも本試験では、こういう問題を取りこぼしてしまいがちですので要注意です!!

張り石・タイル張り工事の問題

本日は、施工です。
下の問題は、難問だと思います。
1級の施工では、プレキャストコンクリートの問題が頻出で、かつ、細かい数値を問われますので、覚えるのが大変です。
ちょっとしたすき間時間にでも、気楽に眺めてみて下さい。

 

学科Ⅴ(施工)(1級過去問 H28)
問 張り石工事及びタイル張り工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. 張り石工事における外壁乾式工法において、石材取付け用ファスナーの面外調整機構を考慮して、下地となるコンクリート部材の位置の許容差を、±10mmとした。
  2. 張り石工事における石先付けプレキャストコンクリート工法において、シアコネクターの取付け代を考慮して、コンクリート部材に先付けされる石材の厚さを、20mmとした。
  3. セメントモルタルによるタイル後張り工法における改良圧着張りにおいて、張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、2㎡以下とし、かつ、60分以内に張り終える面積とした。
  4. セメントモルタルによるタイル後張り工法において、外壁タイルの引張接着強度を確認する試験体の数は、100㎡ごと及びその端数につき1個以上とし、かつ、全体で3個以上とした。

 

(解答・解説)
  1. 正しい記述です(JASS9)。
  2. プレキャストコンクリート部材に先付けされる石材の厚さは、25mm以上とします。25mm未満だと、シアコネクターなどの取付けが困難となり、安全性・耐久性が低下するとされています(JASS9)。よって、誤った記述となります。
  3. 正しい記述です(公共建築工事標準仕様書)。
  4. 正しい記述です(JASS19)。
従いまして、答えは2.となります。

ガスト影響係数の問題

1級の学科Ⅳ(構造)では、地震層せん断力係数やガスト影響係数に関する問題が、よく出題されます。下の問題は、それらに関する標準レベルの難易度だと思われます。

 

学科Ⅳ(構造)(1級過去問 H26)
問 建築基準法における荷重及び外力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. 建築物の固有周期が長い場合や地震地域係数Zが小さい場合には、地震層せん断力係数Ciは、標準せん断力係数C0より小さくなる場合がある。
  2. ガスト影響係数Gfは、一般に、建築物の高さと軒の高さとの平均Hに比例して大きくなり、「都市化が極めて著しい区域」より「極めて平坦で障害物がない区域」のほうが大きくなる。
  3. 高さ13m以下の建築物において、屋根ふき材については、規定のピーク風力係数を用いて風圧力の計算をすることができる。
  4. 多雪区域においては、暴風時又は地震時の荷重を、積雪荷重と組み合わせる必要がある。

 

 

(解答・解説)
  1. Ci=Z・Rt・Ai・C0であることより、例えば、Z=0.7、Rt=1.0、Ai=1.0、C0=0.2を代入すると、地震層せん断力係数Ciは最大でも0.14となります。設問は、正しい記述です。
  2. ガスト影響係数Gfは、「極めて平坦で障害物がない区域」よりも「都市化が極めて著しい区域」のほうが大きくなり、建築物の屋根の平均高さHが低いほうが大きくなります。よって、誤った記述となります。
  3. 正しい記述です。
  4. 正しい記述です。例えば、多雪区域における地震時の場合は、G+P+0.35S+Kとなります。
従いまして、答えは2.となります。

法規の基本問題2

今日から7月です。
二級建築士学科試験まで、あと4日です。
昨日も書きましたが、ひたすら復習に費やしましょう。
余計なことは考えずに、目の前の問題を解くことだけに集中しましょう!

 

学科Ⅲ(法規)(1級過去問 H28)
問 構造強度に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

  1. 限界耐力計算を行う場合、構造耐力上主要な部分の断面に生ずる長期(常時及び積雪時)及び短期(積雪時及び暴風時)の各応力度が、それぞれ長期に生ずる力又は短期に生ずる力に対する各許容応力度を超えないことを確かめなければならない。
  2. 津波による災害の発生のおそれのある区域においては、津波による外力に対して安全であることを確かめなければならない。
  3. 鉄骨造の建築物において、構造耐力上主要な部分である柱の脚部は、滑節構造である場合を除き、原則として、国土交通大臣が定める基準に従ったアンカーボルトによる緊結その他の構造方法により基礎に緊結しなければならない。
  4. 鉄骨造の建築物において、限界耐力計算によって安全性が確かめられた場合、構造耐力上主要な部分である鋼材の圧縮材の有効細長比は、柱にあっては200以下としないことができる。

 

 

(解答・解説)
  1. 令第82条の5第一号、令第82条第一号~第三号より、正しい記述となります。
  2. 法20条、令第83条により、建築物の構造耐力及び作用する外力の規定が定められています。その中で、「水圧」や「衝撃」という言葉は出て来ますが、設問のような津波に対しての規定については定められていません。よって、誤った記述となります。
  3. 令第66条により、正しい記述となります。
  4. 令第65条、令第36条第1項及び第2項第二号、令第81条第2項第一号ロより、正しい記述となります。(限界耐力計算によって、安全性が確かめられた建築物は、「耐久性等関係規定」に適合する必要がありますが、有効細長比の規定は、この「耐久性等関係規定」には該当しないので、適用除外となります。)

よって、答えは2.となります。

また、有効細長比についての問題は頻出です。以下の事項は必ず覚えておきましょう!

(有効細長比)
木造の柱 → 150以下(令第43条第6項)
鉄骨造の柱 → 200以下(令第65条)
鉄骨造の柱以外 → 250以下(令第65条)