建築事例系の問題3

一級建築士試験の学科Ⅰ(計画)は、マジで苦手でした。
というか、今も苦手です。
その原因は、建築事例の問題にあります。

個人差はあろうかと思いますが、ご賛同頂ける方は多いのではないかと思われます。一級だと、計画教科20問中、7~11問が建築事例の問題です。

正直なところ、どうやって点数をとったらいいのか、未だによく分かっていません。ある程度は過去問を勉強することで対応できますが、それだけでは、んもう、手も足も出ないような場合が多々あります(あくまでも自分の場合)。

とりあえず、1問解いてみましょう。

(令和2年度一級建築士試験 学科Ⅰ(計画)から)
問 事務所ビルに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. ジョンソン・ワックス・ビル(アメリカ、1936年)の2層吹抜けの執務スペースでは、天井付近が広がった樹木状の柱や柱頭まわりの天窓、ハイサイドライトによって、内部に自然を再現している。
  2. フォード財団本部ビル(アメリカ、1967年)は、ビル内部に豊かな植栽が施されたアトリウムをもち、各フロアの執務スペースはアトリウムをL字型に囲むように配置されている。
  3. 丸の内ビルディング(東京都、2002年)の高層階のオフィスゾーンは、中央にアトリウムを設け、事務室沿いの廊下をアトリウムに面して配置しており、その廊下から建築物のどこの位置に自分がいるのかを把握することができる。
  4. ROKI Global Innovation Center(静岡県、2013年)は、執務スペースが階段状に積層する立体的なワンルーム空間に、ガラスをはめこんだ木と鉄のハイブリッドトラスの屋根をかけ、自然光を通すフィルターを使用した天幕を設けている。

資格学校だと、建築事例に特化した冊子が渡され、めちゃくちゃ重宝します。独学だと、とりあえずネットで各建物の画像とかを調べるところから始まります。個人的には、手間はかかりますが、自分で調べた方が圧倒的に記憶に残る印象を持っています。地道ではありますが、やはり普段から新建築を読んだり、学会賞の情報を仕入れたり、建築物に興味を持っておく必要があるのだと思います。

そして、ここからが個人的な懸案事項なのですが、以上のような努力を積み重ねたとしても、本試験で出題される建築事例が、今まで見たことも聞いたこともないということがしばしばあるのです。圧倒的に努力不足と言われればそれまでですが、例えば上記の問題で、丸の内ビルディングの高層階にアトリウムはないということを知らなければなりません。まあ、知ってる人にとっては、何を今さらな問題なのかもしれませんが、建築事例の問題は、他の教科に比べて、何というか、考える手がかりというか、とっかかりみたいなものがないように思えるのです。

四枝択一ですから、一枝か二枝、知ってる選択枝があれば、試験を解くテクニックとして、消去法で何とかなる場合ももちろんあります。が、四枝ともサッパリ分からない(知らない)ということが、結構な頻度で起こるのです(あくまでも自分の場合)。

一級建築士の学科試験は5教科ありますが、本試験直後、計画以外の教科は、「難しかった」とか「簡単だった」という感想を持つことができますが、計画の教科は、自己採点するまで、一体自分は何点くらいとれているのか、さっぱり見当がつかないという状況でした(あくまでも自分の場合)。

まあ、突き詰めれば、人によって得手不得手はあるわけで、建築事例の問題に限った話ではないのかもしれませんが、あくまでも自分の場合は、建築事例の問題が苦手でした(です)。

結局、何が言いたいのか、どうすればいいのか、全く分からない文章となってしまいましたが、上記の問題の答えは、3.が誤りということになります。他の選択枝は全て正しい記述となります。

以上、よろしくお願い致します。

取りこぼしてはいけない計画の問題

昨日は、二級建築士学科試験の本試験でした。
難易度としては、ほぼ例年通りだったようです(恐らく各教科の足切り点は13点、基準点は60点になるものと思われます)。自己採点の結果、合格点に届いている場合は、即製図試験の準備をしましょう! 毎年、学科試験で燃え尽きてしまう卒業生がいますが、当然のことながら製図試験を突破しないと二級建築士にはなれません。大変にキツい試験ですが、これが建築士試験です。もう一度気合いを入れ直して精進していきましょう。
今年の二級建築士製図試験についてはコチラ

また、自己採点の結果、不合格となってしまった場合は、今一度、今までの自分の勉強スタイルというものを見つめ直し、今後のことを考えていきましょう。可能であれば、来年度に向けて諦めずに頑張ってほしいと思います。

そして、今度は一級学科の本試験(7/12(日))がやって来ます。自分が把握している限りにおいて、専門学校の卒業生では5名程が挑戦する予定です。
とにかく取りこぼしをしないこと!
これに尽きます。
そういう意味で、下の問題は、絶対に取りこぼしてはいけない代表格の問題です。勉強の合間の息抜きにでも気楽に解いてみて下さい。

 

学科Ⅰ(計画)(1級過去問 H25)
問 住宅に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー構造を有し、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスの提供等に関して一定の基準を満たし、単身高齢者世帯、高齢者夫婦世帯等の居住の安定を確保するための賃貸等の住宅である。
  2. コレクティブハウスは、各住戸の独立性を保ちながら、子育てや家事等の作業を共同で担い合う相互扶助的なサービスと住宅とを組み合わせた集合住宅である。
  3. シルバーハウジング・プロジェクトは、高齢者の生活特性に配慮した住宅及び附帯施設の供給並びにライフサポートアドバイザーにより福祉サービスの提供を行う地業である。
  4. コーポラティブハウスは、建築主が入居希望者の意見に従い建築する賃貸集合住宅である。

 

 

(解答・解説)
  1. 設問は、正しい記述です。
  2. 超頻出の設問です。正しい記述ですので、頭に叩き込んでおきましょう。
  3. 設問は、正しい記述です。
  4. 超頻出の設問です。コーポラティブハウスとは、自ら居住するための住宅を建設しようとする者が組合を結成して、企画・計画から建設・入居・管理まで行う協同組合運営方式の集合住宅です。設問は、誤った記述となります。

従いまして、答えは4.となります。

以上、「コレクティブハウス」と「コーポラティブハウス」の違いに関する出題に対しては、必ず得点できるように明確にしておきましょう!
意外にも本試験では、こういう問題を取りこぼしてしまいがちですので要注意です!!

積算の基本問題

二級建築士学科試験が今度の日曜日(7/5)まで迫ってまいりました。泣いても笑っても、あと1週間です。最後まで悔いのないよう頑張って頂ければと思います。

今回は積算の問題です。二級では施工教科として出題されますが、一級では計画の教科として出題されます。基本的な内容ですので、よく確認しておきましょう!

 

学科Ⅰ(計画)(1級過去問 H26)
問 建築積算に関する次の記述のうち、建築工事建築数量積算研究会「建築数量積算基準」に照らして、最も不適当なものはどれか。
  1. 「計画数量」は、設計図書に表示されていない施工計画に基づいた数量をいい、仮設や土工の数量等がこれに該当する。
  2. 「所要数量」は、「定尺寸法による切り無駄」や「施工上やむを得ない損耗」を含んだ数量をいい、鉄筋、鉄骨、木材等の数量がこれに該当する。
  3. 窓、出入口等の開口部による型枠の欠除は、原則として建具類等の開口部の内法寸法で計算し、開口部の内法の見付面積が1か所当たり0.5㎡以下の場合は、原則として型枠の欠除はないものとする。
  4. 石材による主仕上げの計測・計算において、1か所当たりの面積が0.5㎡以下の開口部による石材の欠除については、原則として、ないものとする。

 

(解答・解説)
  1. 正しい記述です。
  2. 正しい記述です。
  3. 正しい記述です。
  4. 石材による主仕上げの計測・計算において、1か所当たりの面積が0.1㎡以下の開口部による石材の欠除については、原則として、ないものとしますので、誤った記述となります。
従いまして、答えは4.となります。

計画の基本問題

基本的に、1日1問の過去問を紹介しています。
力試しとして、気軽に挑戦してみて下さい。

 

学科Ⅰ(計画)(1級過去問 H24)
問 建築部品とモデュラーコーディネーションに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 一般に、特定の需要や特定のビルディングシステムを対象とした建築部品をクローズド部品といい、不特定多数の建築物を対象とした建築部品をオープン部品という。
  2. 建築部品等の呼び寸法は、一般に、製作寸法とは異なる。
  3. パネル状のものが並んで面をなす構成材群(畳、天井パネル等)は、一般に、シングルグリッドにしたがって配列すると構成材間の互換性が高くなる。
  4. 日本工業規格(JIS)のモデュラーコーディネーションは、モデュロールの寸法を基本として寸法体系が定められている。

 

(解答・解説)

  1. 正しい記述です。
  2. 例えば鉄筋径などの呼び寸法は、厳密な製作寸法とは異なります。よって、正しい記述です。
  3. 正しい記述です。
  4. モデュロールといえば、コルビュジェが提唱した人体寸法と黄金比とから作った建築的基本尺度です。JISのモデュラーコーディネーションは、ベーシックモデュールの100mmを基準としています。よって、誤った記述となります。

従いまして、答えは4.となります。

建築事例系の問題2

一級建築士試験の難易度は、やっぱり難しいです。学科試験の合格率は18%前後、製図試験の合格率は40%前後、総合での合格率は10~12%前後です。問題の難易度に対する捉え方には、多分に個人差が存在しますので、一概にも言えませんが、少なくとも簡単ではないと思います。挑戦する場合には、余程の覚悟をもって取り組む必要があると思います。

とりあえず、自分は学科Ⅰ(計画)は苦手でした(特に建築事例系)。
とにかく、知ってるか、知らないか、ただそれだけ、という非情な冷たさを個人的には感じます。

 

学科Ⅰ(計画)(1級過去問 H21)
問 建築や都市に関する歴史的著作物(著者名)とその説明との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。

  1. 都市の文化(ルイス・マンフォード)→ パスやランドマーク等、都市のイメージを形成する五つの要素を抽出した。
  2. 明日の田園都市(エベネザー・ハワード)→ 農村と都市の結合体としての田園都市を構想し、その経営方法についても論じた。
  3. 広場の造形(カミロ・ジッテ)→ 都市計画の芸術的側面を重視し、古代、中世、ルネサンスのヨーロッパの都市における広場の造形を分析・評価した。
  4. 建築書(ウィトルーウィウス)→ 現存する最古の建築理論書といわれ、ルネサンスの建築家に強い影響を与えた。

 

 

(解答・解説)

  1. 都市の文化(ルイス・マンフォード)では、現代の大都市が陥りやすい種々の問題について論じられています。設問の内容は、「都市のイメージ(ケヴィン・リンチ)」ですので、誤りです。

2.~4.は、それぞれ正しい組合せ(記述)となります。

よって、答えは1.となります。

建築事例系の問題1

極めて個人的な感想ですが、学科Ⅰ(計画)という教科は水物です。あくまでも個人的にですが、5教科の中で一番得点の計算が、しにくい教科だと思っています。その要因として、建築事例の問題が挙げられます。結局のところ、覚えるしかないのですが、この覚えるという行為(暗記ともちょっと違う感覚)が、大変、苦しく感じるものです。

あまり、一気に覚えようとせず、1日1問(四事例)くらいずつを最低の目安としましょう。それでも、本試験まで、まだ30日くらいありますから、今日から始めれば、120事例は覚えることになります!

理想は、コーヒーでも飲みながら、楽しんで建築雑誌でも見て、それが自然な記憶として頭の中に残っている状態をつくることです。まあ、これがなかなか難しいのですが…。

自分は、過去10年分の建築事例の問題のみをまとめてノートに書き出し、ネットでそれぞれの建築物の画像を調べて見ていました。この作業は、必ず他の勉強の合間に行い、コーヒーを飲みながら休憩の一環として行っていました。今はYouTubeでも、かなり詳しい建築事例が見られるようですので、昼食を食べながら見てもいいかもしれません。

 

学科Ⅰ(計画)(1級過去問 H28)
問 住宅の作品名(設計者)とその計画上の特徴に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. イームズ自邸(チャールズ&レイ・イームズ)は、再組立が可能という理念のもと、形鋼やスチールサッシ等の工業製品を用いて建築された住宅である。
  2. ゲーリー自邸(フランク・O・ゲーリー)は、既存の木造住宅に、安価な材料である金網やトタン板、ベニヤ板の破片等を組み合わせて増改築を行った、ポストモダンを代表する住宅の一つである。
  3. ヒラルディ邸(ルイス・バラガン)は、不整形敷地に建つ地上4階建ての医院併用住宅であり、台形の平面をもつ医院と矩形の平面をもつ住居は、中庭のスロープによって繋がれている。
  4. フィッシャー邸(ルイス・カーン)は、二つの矩形のボリュームが45度の角度をもって接合され、一方には2層の個室群が配置され、もう一方には2層分の高さの居間をもつ、幾何学的な構成の住宅である。

 

 

(解答・解説)
3. ヒラルディ邸(ルイス・バラガン)は、キーワードとして「パティオ(中庭)」、「食堂内のプール」、「ショッキングピンクの外観色」などが挙げられます。設問の特徴(キーワード:「4階建ての医院併用住宅」、「台形の平面をもつ医院」、「中庭のスロープ」など)は、クルチェット邸(ル・コルビュジェ)のものです。よって、誤った記述となります。

他の選択枝は正しい記述です。
よって、答えは3.となります。

製図試験でも使える計画の問題

製図試験では、面積を適宜とした要求室が結構ありますので、自分でおおよその室の大きさを考えなければなりません。その際、下記のような室面積における数値的な考え方が必要となります。今現在、製図試験の勉強をされている方も、力試しに是非解いてみて下さい。

H22年一級過去問 学科Ⅰ(計画)

問 建築物の各部の寸法及び床面積に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 劇場において、車いす使用者用客席スペースを出入口に近い部分に設け、車いす1台当たりのスペースを幅90cm、奥行き120cmとした。
  2. 事務所において、ロの字形に机を配置する会議室(収容人員20人程度)の広さを、3.6m×7.2mとした。
  3. 図書館において、書架のない閲覧室(4人掛けで100席)の床面積を、180㎡とした。
  4. 洋食レストランにおいて、客席部分(50席)の床面積を、80㎡とした。

 

(解答・解説)
極めて個人的な見解になってしまいますが、一人(又は一席)あたりの必要床面積が問われた場合は、以下のように考えて問題ないと思われます。

  • 映画館・劇場の固定席の場合は、かなり狭くてもよくて、0.5㎡~1.0㎡弱(通路含む)。
  • レストランの客席は、ほぼ1.5㎡。
  • 図書館の閲覧席は、ざっくり1.5㎡(ちょっと小さ目ですが)。
  • 会議室は、ズバリ2.0㎡(最小値)。

これらの数値を当てはめて計算してみると、2.の選択枝が最も誤っています(答えは2.)。すなわち、会議室で収容人員が20人なので、最低でも20人×2=40㎡必要ですが、室面積が3.6m×7.2m≒26㎡ですから、狭いことが分かります。なお、本試験では、電卓を使えませんから、意外と3.6×7.2のようなかけ算がやっかいです。こういう場合は、ざっくり4m×7m=28㎡と計算しても全く問題ありません。

他の選択枝を考えてみると、3.の図書館は100席×1.5=150㎡必要となりますから、室面積180㎡は妥当ですし、4.のレストランは50席×1.5=75㎡ですから、室面積80㎡は適当ということができます。1.は、そのまま覚えてしまいましょう。