都市計画法の問題

今年の二級建築士学科試験の試験会場では、受験生の検温や体調確認を行うなど、例年とは違った緊張感があったようです。当然、一級や製図試験でも同様の措置がとられると思いますので、健康管理には十分に気を付けていきましょう。

今日の法規は、都市計画法の問題です。
受験生にとっては読みづらい分野だと思いますが、ここでの得点は合格点に向けて非常に大きなものとなるはずです。

 

学科Ⅲ(法規)(1級過去問 H30)
問 次の記述のうち、都市計画法上、誤っているものはどれか。
  1. 都市計画区域内又は準都市区域内において、図書館の建築の用に供する目的で行う開発行為で、その規模が4,000㎡のものについては、都道府県知事の許可を受けなければならない。
  2. 市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内における仮設建築物の新築については、都道府県知事の許可を受ける必要はない。
  3. 都市計画施設の区域内において、地階を有しない鉄骨造、地上2階建ての建築物を改築する場合は、原則として、都道府県知事等の許可を受けなければならない。
  4. 地区整備計画が定められている地区計画の区域内において、建築物の用途の変更を行おうとする場合に、用途変更後の建築物等が地区計画において定められた用途の制限及び用途に応じた建築物等に関する制限に適合するときは、当該行為の種類、場所、着手予定日等を市町村長に届け出る必要はない。

 

 

(解答・解説)
  1. 都市計画法(以下、都計法)第29条第1項第三号、都計法施行令第21条第十七号により、図書館の建築の用に供する目的で行う開発行為においては、都道府県知事の許可を受ける必要がありません。よって、誤った記述となります。
  2. 都計法第43条第1項ただし書第三号により、正しい記述です。
  3. 都計法第53条第1項により、正しい記述です。
  4. 都計法第58条の2第1項、同法施行令第38条の4第一号( )書により、正しい記述です。

従いまして、答えは1.となります。

法規の基本問題2

今日から7月です。
二級建築士学科試験まで、あと4日です。
昨日も書きましたが、ひたすら復習に費やしましょう。
余計なことは考えずに、目の前の問題を解くことだけに集中しましょう!

 

学科Ⅲ(法規)(1級過去問 H28)
問 構造強度に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

  1. 限界耐力計算を行う場合、構造耐力上主要な部分の断面に生ずる長期(常時及び積雪時)及び短期(積雪時及び暴風時)の各応力度が、それぞれ長期に生ずる力又は短期に生ずる力に対する各許容応力度を超えないことを確かめなければならない。
  2. 津波による災害の発生のおそれのある区域においては、津波による外力に対して安全であることを確かめなければならない。
  3. 鉄骨造の建築物において、構造耐力上主要な部分である柱の脚部は、滑節構造である場合を除き、原則として、国土交通大臣が定める基準に従ったアンカーボルトによる緊結その他の構造方法により基礎に緊結しなければならない。
  4. 鉄骨造の建築物において、限界耐力計算によって安全性が確かめられた場合、構造耐力上主要な部分である鋼材の圧縮材の有効細長比は、柱にあっては200以下としないことができる。

 

 

(解答・解説)
  1. 令第82条の5第一号、令第82条第一号~第三号より、正しい記述となります。
  2. 法20条、令第83条により、建築物の構造耐力及び作用する外力の規定が定められています。その中で、「水圧」や「衝撃」という言葉は出て来ますが、設問のような津波に対しての規定については定められていません。よって、誤った記述となります。
  3. 令第66条により、正しい記述となります。
  4. 令第65条、令第36条第1項及び第2項第二号、令第81条第2項第一号ロより、正しい記述となります。(限界耐力計算によって、安全性が確かめられた建築物は、「耐久性等関係規定」に適合する必要がありますが、有効細長比の規定は、この「耐久性等関係規定」には該当しないので、適用除外となります。)

よって、答えは2.となります。

また、有効細長比についての問題は頻出です。以下の事項は必ず覚えておきましょう!

(有効細長比)
木造の柱 → 150以下(令第43条第6項)
鉄骨造の柱 → 200以下(令第65条)
鉄骨造の柱以外 → 250以下(令第65条)

法規の基本問題

法規の基本問題ですが、意外と「ん?」となるような構成だと思います。例によって、まずは法令集を使わずに、気軽に眺めてみて下さい。

 

学科Ⅲ(法規)(1級過去問 H28)
問 次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

  1. レストランの調理室は、「居室」である。
  2. 地上3階建ての共同住宅における2階の床及びこれを支持するはりに鉄筋を配置する工事の工程は、「特定工程」である。
  3. 建築物に設ける消火用の貯水槽は、「建築設備」である。
  4. 延べ面積2,000㎡の警察署は、「特殊建築物」である。

 

 

(解答・解説)
  1. 法第2条第四号により、正しい記述です。
  2. 法第7条の3第1項第一号、令第11条により、正しい記述です。
  3. 法第2条第三号、法第35条により、正しい記述です。
  4. 警察署は、法第2条第二号、法別表第1(い)欄、令第115条の3のいずれにも該当しないため、「特殊建築物」ではないということになります。

従いまして、答えは4.となります。

法規の融合問題

法令集なしで挑戦してみて下さい。

 

学科Ⅲ(法規)(1級過去問 H28)

問 次の記述のうち、建築基準法上誤っているものはどれか。

  1. 床が地盤面下にあり天井の高さが3mである階で、地盤面から天井までの高さが2m以下のものは、地階である。
  2. 高等学校における生徒用の階段で、避難階以外の階から避難階又は地上に通ずる屋外の直通階段の幅は、140cm以上としないことができる。
  3. 病院における病室の窓その他の開口部で採光に有効な部分の面積は、用途地域に関係なく算定することができる。
  4. 集会場の用途に供する床面積300㎡の居室に、換気に有効な部分の面積が15㎡の窓を設けた場合においても、所定の技術的基準に従って、換気設備を設けなければならない。

 

(解答・解説)

  1. 令第1条第二号により、正しい記述です。
  2. 令第23条第1項ただし書きにより、正しい記述です。
  3. 令第20条第1項及び第2項により、誤りであることが分かります。採光補正係数は、用途地域の区分に応じて計算します。
  4. 法第28条第3項、令第20条の2第一号により、正しい記述であることが分かりますが、本設問はやや難解です。ポイントは、令第20条の2第一号の( )書だと思います。法別表第1(い)欄(1)項に掲げる特殊建築物の居室には、同条第一号ロからニまでの、いずれかによる換気設備を設けなければならない。と、あります。

従いまして、答えは3.となります。

いずれにしましても、上記の問題におきましては、答えとして3.の選択枝を選ぶことは、そんなに難しくないと思いますが、2.とか4.の選択枝の正誤判断に時間を消費してしまうと残りの問題の解答時間が厳しくなっていきます。特に学科Ⅲ(法規)は、時間管理の訓練(練習)を意識して勉強しましょう。

構造みたいな法規の問題

法規の中で構造系の問題は、なるべく法令集を引かずに解けるようにならなければなりません。そういう意味で、とにかく必ず得点しなければならない問題の一つと言うこともできます。こういう問題を如何に取りこぼさずに得点できるかが合格のカギです。

これからの1ヶ月間の過ごし方が、合否に直結します。

時には、自分の実力を疑うような場面もあるかもしれません。
思うように模試の点数が伸びないときもあるかもしれません。
意味もなく、落ち込むこともあるかもしれません。

ですが、大丈夫です。
ここまで、本気で勉強して来たのであれば、必ず合格します!

新しいことをする必要はありません。
ひたすら、今までの復習に努めましょう。

ただし! 漠然と復習することは止めましょう!
主として、自分の苦手な箇所を重点的に復習しましょう。そして、過去問においては、正答枝以外の選択枝についても、解説を丁寧に丁寧に、ちゃんと意識して精読しましょう!!

 

学科Ⅲ(法規)(1級過去問 H26)
問 コンクリートの強度等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

  1. 設計基準強度が21N/mm2以下のコンクリートのせん断に対する材料強度は、圧縮に対する材料強度の1/10である。
  2. コンクリートの材料強度の算定における設計基準強度の上限の数値は、特定行政庁が規則で定めることができる。
  3. 鉄筋コンクリート造に使用するコンクリートの四週圧縮強度を求める場合においては、国土交通大臣が指定する強度試験によらなければならない。
  4. コンクリートの短期に生ずる力に対する圧縮の許容応力度は、設計基準強度の3/4である。

 

 

(解答・解説)

  1. 令第97条第1項表により、正しい記述です。
  2. 令第91条第2項により、正しい記述です。
  3. 令第74条第2項により、正しい記述です。
  4. 令第91条第1項の表により、誤った記述です。短期に生ずる力に対する圧縮の許容応力度は、設計基準強度の2/3となります。

従いまして、答えは4.となります。

用途地域の問題

建築物の用途制限に関する問題は、毎年必ず1問出題されます。難易度的にも、それほど難しくない印象です。従いまして、ここでの1点ゲットは必須となります。法規の問題を解くにあたっての、個人的な思考の流れを解説中に記しましたので、参考にしてみて下さい。

H30年一級過去問 学科Ⅲ(法規)

問 建築物の用途の制限に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、用途地域以外の地域、地区等の指定はなく、また、特定行政庁の許可等は考慮しないものとする。

  1. 第二種低層住居専用地域内において、「延べ面積650㎡、平家建ての老人福祉センター」は、新築することができない。
  2. 第一種住居地域内において、「延べ面積3,000㎡、地上3階建てのホテル」は、新築することができない。
  3. 近隣商業地域内において、「客席の部分の床面積の合計が300㎡、地上2階建ての映画館」は、新築することができる。
  4. 工業専用地域内において、「延べ面積300㎡、地上2階建ての保育所」は、新築することができる。

 

(解答・解説)
法規という教科の解き方について、どの先生にお話を伺っても、返って来る言葉は同じです。すなわち、「如何に法令集を引かずに解くか」ということです。上記の用途地域に関する問題においても例外ではありません。1.~4.の選択枝において、1つずつ全て調べていたのでは、絶対に時間が不足します。今回の設問で言えば、3.と4.は法令集を引くまでもなく、正しい記述であるということを見抜かなければなりません。確信はなくとも、正しいだろうという予測はできなければなりません。ざっくりと、それこそ「うろ覚え」で構いませんので、商業地域・近隣商業地域・準工業地域は、用途制限が甘いというイメージを持っていれば、3.の映画館は新築できることが予想できます。あと、保育所は全ての用途地域で新築可能(これは絶対暗記)ですので、4.も正しいことが分かります。

住居系の用途地域については、条件がやや細かいので、法令集を引くことになろうかと思います。
1.と2.を俯瞰してみると、語尾が「できない」になっていますので、そこに着目して考えると、恐らく建物規模が関係してるんじゃないかと予想できます。1.の第二種低層住居専用地域については、第一種低層住居専用地域と密接に関連していますから、すなわち、500㎡とか600㎡あたりに建築可能な規模の制限があったんじゃなかったかなあ。と、思えるかどうかが結構重要です。また、2.の第一種住居地域内に建築できるものとしては、第一種中高層住居専用地域と密接な繋がりがあって、建築可能な規模の制限が3,000㎡くらいじゃなかったかなあ。というイメージが即思い浮かぶかどうかが大事です。

結論からいうと、答えは2.となります。第一種住居地域に、延べ面積3,000㎡以内のホテルは新築可能です。詳しくは、別表2をご確認下さい。

結局のところ、法規も他の教科と同じように(法令集を引かないで)解く訓練が必要ということです。ただし、法規においては、法令集を見ることができるので、曖昧な記憶を補えるという点で高得点を狙える教科です。

※今さらの話になってしまいますが、法令集は最新版のものを使いましょう。ここ数年は、内容が結構ころころ変わっていますので、注意が必要です(特に耐火関係)。