チビコマと倍コマ

2.5~3時間くらいでの作図力に目途がついたら、次はエスキス力の養成です。製図試験に関しては、自分はウラ指導のお世話になりましたが、そのエスキスの中で一番勉強になったのが、チビコマと倍コマの概念(考え方)についてです。

初受験の方にとっては、チビコマとは何ぞやという状態だと思いますが、5mm方眼紙の1目盛を1コマとしたものがチビコマです。倍コマは、その倍、つまり2目盛を1コマとしたものです。

チビコマでは、ゾーニングを行います。
倍コマでは、ラフプランニングを行います。

エスキスのコツは、チビコマの段階では主にゾーニングを考えるということです。コアもざっくりと何となくの位置だけを考えます。各室の大きさや配置は倍コマで考えます。倍コマだと、結構、細部まで考えることができますが、ここでも敢えてあまり細かい箇所の検討はしません。

くり返しますが、チビコマはゾーニングだけです。
それに毛の生えたラフプランニングを倍コマで行います。
(倍コマはスパン割を確定させるステップでもあります。)

ここが分かってくると、覚醒します。
これが、最初のうちはなかなか分かりません。

ある意味、倍コマまででエスキスの8割方は出来たようなものです。その後の詳細な箇所については1/400でプランニングしますが、倍コマが出来ていれば、最後のプランニングは20分くらいで完成します。

周辺環境に配慮して、チビコマでゾーニングをしたら、倍コマを使って、そのゾーンの中に部門ごとの各室をざっくりと配置します。そしてスパン割を確定させ、最後の1/400でのプランニングをします。

まあ、この他にも、前段階でするべき建物配置の検討や、その課題特有の与条件の検討など多々ありますが、キモの部分はチビコマと倍コマです。特にチビコマを、ゾーニングのみに特化して、ざっくりと考えることが出来るかどうかがカギとなります。

2ヶ月の我慢!

今年の一級建築士製図試験の課題『高齢者介護施設』は難しそうに見えます。その理由は、現段階で「階数」が分かっていないことに大きく起因しているものと思われます。もう、現時点においてビックリ玉が発動しているようなものなので、これ以上のサプライズはご勘弁してほしいところです。

エスキスの仕方は、従来の「3階建タイプ」と「基準階タイプ」とで、若干異なります。例年であれば、課題が発表された時点で、どちらのタイプかが明らかとなっていますので、どちらかに特化したエスキスの仕方を練習していけばいいことになります。

ここからは、極めて個人的な考察です。

課題発表時に建物のタイプを明らかにすると、全受験生はどちらか一方のタイプしか練習しないことになります。すなわち、建築計画的な実力差があまり出ない事態となり得ます。そこで、例年はいわゆるビックリ玉的なものを出題することで、受験生を心理的に動揺させるなどして、採点上の差を生み出しているのではないかと考えています。かなり穿った見方ですが、全く見当はずれでもないと思います。

今年は、どちらのタイプが出題されてもいいように学習していかなければなりません。考えようによっては、ビックリ玉による採点差(もちろんそれだけではありませんが)ではなく、エスキスがちゃんと出来るかどうかの本当の意味での実力勝負となります。つまり、例年以上に、正攻法できちんとエスキス力を身に付けた人が受かりやすい年になると考えます。

この試験は、運的な要素を完璧に排除することは難しい試験だと思っていますが、今年はそういう要素を排除した、本来のガチンコ勝負になりそうな気がしています。

製図初受験の方にとって、最初の3週間くらいは本当に苦しい時期だと思います。作図力を養いつつ、3,000㎡クラスの建物のエスキスの仕方や記述(計画の要点)についても学習していかなければなりません。特にエスキスについては、なかなか実力が付いていることを実感できないものです。しかし、そこを突破すると、ある時、覚醒します。この覚醒の時期には個人差がありますが、いずれ誰にでもその時はやって来ます。過去には、本試験の3日くらい前に、「分かりました!」と言って、そのまま合格した卒業生がいました。

苦しく、低迷の期間は長く続くかもしれませんが、その先の夜明けを信じて頑張って頂ければと思います。

基本に忠実にコツコツと

今年の一級建築士製図試験課題『高齢者介護施設』は、先日も書きましたが、まさかの階数不明です。例年、本試験当日において、何らかのビックリ玉が出題されますが、今年は既にビックリ玉が発動している感じです。

従いまして、一見、難しそうに見える課題かなと思います。

しかしながら、高齢者系の建物はH21年の新制度以降、H23年とH27年に続いて3回目の出題ですし、建物の用途上、所要室は推測しやすいので、そういう意味においては、それほど警戒しなくてもいいように思います。

やっぱり、今年のキモは「階数」だと考えています。
すなわち、3階建てや5階建てくらいの基準階タイプはもちろん、可能性は低いと思いますが、床面積の広い2階建てもあり得るかもしれません。

従来の3階建てのエスキスと基準階タイプのエスキスと、2通り学習しなければならないので、そこは例年よりも受験生にとっては負荷がかかりますし、難度が高く見える要因だと思います。

こういう課題のときこそ、基本に忠実なエスキス力と作図力が必要になります。全く焦る必要はありませんので、これから一歩ずつ、コツコツと勉強していきましょう。

令和2年一級建築士製図試験の課題発表!

今年の一級製図試験の課題が発表になりました。
概要は下記の通りです。

 

『高齢者介護施設』

【要求図書】
1階平面図・配置図(1/200)
各階平面図(1/200)
※各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定。

(注1)
居宅サービスを行う施設及び居住施設で構成する建築物の計画とする。
(注2)
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に規定する特別特定建築物の計画とする。
(注3)
建築基準法令に適合した建築物の計画(建蔽率、容積率、高さの制限、延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設 等)とする。

 

現段階で分かることは、恐らく歴史上初となる階数不明!ということです。まあ、多分、5階建てくらいの基準階タイプだと思われますが、低層階(居宅サービスを行う部分)が1階建てなのか2階建てなのか分かりません。それによって、上層の基準階(居住施設部分)の構成が変わってきます。

要求図書に「伏図」がないので、H27年のタイプが一番有力だと考えます(低層階2層、基準階3層)。ただし、H23年みたいな年もあったので、注意は必要です。あと、円滑化基準と誘導基準の違いについても、法令集でしっかりと確認しておきましょう。

今後、当サイトでも、今年の課題についてのポイントを随時更新していきたいと思っていますので、よろしくお願い致します。

今、しておくべきこと

今週の水曜日(7/22)に、いよいよ今年の一級建築士製図試験の課題が発表されます。オリンピックが開催される予定でしたから、例年とは違うタイミングでの発表ということもあって、ちょっとドキドキします。

巷では、そろそろ基準階タイプがくるのではないかと言われていますが、ぶっちゃけ分かりません。そこで、どんな課題だったとしても、今しておいて絶対に損にならない作図練習の項目を以下に記します。

  1. コア(階段・EV)
  2. 便所
  3. 什器類
  4. 断面図

特に初受験の場合は、以上の項目について、定規を使って描いた後に、必ずフリーハンドでも描いてみて下さい。前回も書きましたが、ある程度の精度を保ちつつ、作図スピードを上げることは絶対に不可欠です。個人的にはフリーハンドのほうが圧倒的に速く描けます。ただし、この辺りは個人差があって、定規を使ったほうが速く描けるという人もいます。

とにかく、上記の4項目について、まずは精度よりもスピードを重視して練習してみて下さい。3.の什器類というのは、テーブルとイスを、丸でも四角でも描けるようにしておくということです。特にフリーハンドで描く場合は、スケールアウトしないように注意して下さい。

あと、時間があるのであれば、過去の基準階タイプの断面図を見ておいたほうがいいです。通常の3階建てとは違い、階数が多くなりますから、物理的に作図時間は多くなります。

フリーハンドであれば、ちょっとしたすき間時間を使って、方眼紙にコアを描いたり、便所を描いたり、作図練習できます。是非、試してみて下さい。

作図手順と作図精度について

本日は、一級建築士製図試験の作図手順や精度について考えてみたいと思います。

近年、一級での作図図面の構成は3平面図+断面図の計4図面です。これに面積表が加わります。(近年と書いたのは、平成21年から平成26年までの図面構成は2平面図+断面図+床伏図の計4図面だったからです。)

今の時代は本当に恵まれていて、YouTubeなどで検索すると、合格者が実際に図面を描いている様子を見ることができます。特に今年初受験の方は、絶対に見ておいたほうがいいです。

普通は、1階平面図兼配置図→2階平面図→3階平面図→断面図→面積表のように、1面ずつ順番に描いていく人が多数であると思われます。自分も最初はそうでした。しかし、上記の映像を見てみると、補助線・寸法線・柱・コアなどは1~3階まで同時に描き上げていることが分かります。

最初のうちは慣れも必要になりますが、1面ずつ完成させていくよりも、3面同時に完成させていくほうが、圧倒的に時間効率がいいです。(この概念は、いずれエスキスにおいても必要となります。1~3階までを同時に考えます。)

※上記の「同時に」という表現についてですが、これは例えば1~3階までのコアのみを描き上げてしまうという意味です。

あと、上記のように同時に完成させていくと、物理的に定規の往復回数が減りますので、図面(用紙)が汚れにくくなります。
個人的な大まかな作図手順を以下に示しますので、参考にしてみて下さい。いずれは、何枚か練習していく中で、各自自分に合った手順となるようにカスタマイズされていくはずです。

『躯体補助線→寸法線→柱→間仕切壁補助線→外壁→コア(階段・エレベーター)→内壁→什器類→外構→文字・補足コメント・防火関連記号→断面図→面積表』

上記の中で、断面図・面積表を描くタイミングは、もっと早い段階でもいいかもしれません。また、最近は法令について厳格になってきていて、特に防火関連に関する記号の抜けは致命的な大減点(場合によっては即失格)となります。

 

◎卒業生から質問の多いフリーハンドについて記します。

まず、フリーハンドで作図していいかどうかについてですが、これはもう全く問題ありません。そもそも課題文に「フリーハンドでもよい。」とズバリ書いています。自分も受かった年はフリーハンドで作図しました(柱もテンプレートを使わずにフリーハンドでした)。ただし、寸法線や断面図など、長い線を引くときは、定規を使ったほうが速くキレイに描けます。

次に精度についてですが、当然、フリーハンドで描くと、線を曲がらないように真っ直ぐ上手く描くのは難しいことです。しかし、精度を保つことはそれほど難しいことではありません。
実は、製図試験における「上手さ」と「精度」には明確な違いがあると思っています。
すなわち、精度の高い図面は壁の幅やテーブル・イスなど什器類の大きさがほとんど一定ですが、精度の低い図面は壁の幅も什器類の大きさもバラバラです。

フリーハンドで描くときは、特にこの点に注意して下さい。上手く描く必要はありませんが、精度は出来るだけ高く保つことを意識して下さい。要するに、スケール感を大事にするということです。手描きである以上、CADのような精度にはならないわけですが、例えばイスの座面の大きさが1m角くらいだったり、壁の幅が500mmくらいだったりすると、明らかに違和感があります(スケールアウトしているということ)。

以上の点に留意して、作図練習してみて下さい。

効率よりも泥臭さ(作図編)

二級建築士の製図試験は、一足早く戦いが始まっています。
詳しくはコチラ

一級も二級も、特に初受験の方々にとっては、今は「模写」の時期だと思います。先日も書きましたが、最初の1枚は10時間くらいかかるかもしれません。

それを、最終的には2時間半くらいまで短縮させることになります。これは誰しもが通る道であり、通ってきた道です。本当に、この試験は過酷だなあと改めて思います。

図面精度についてよく聞かれるのですが、極めて個人的な見解において、精度はどうでもいいと思っています(ちょっと言い過ぎです)。まあ、さすがに全く読めない文字とか、見えないくらい薄い図面とかは問題あるかもしれませんが、そこそこの図面であれば、全く問題ないと考えています。

作図で重要なことは、精度よりもスピードです。そこそこの出来の図面を、間違いなく2時間半以内に描き上げられる速度は絶対的に必要になります。

最終最後の合否を決める決定的なカギは「見直し」です。
この「見直し」時間確保のために、どんな状況下でも2時間半以内で完成させる安定した作図スピードが必要なのです(見直し時間は最低でも30分は欲しいです)。

作図時間が安定すると、エスキスにも心の余裕が生まれますし、記述(計画の要点)もちゃんと考えながら書くことができます。そういう意味で、今の時期は精度よりも速度に拘って下さい。もちろん、速く精度よく描けるのであれば、それに越したことはありませんが。

そして、10時間かかる作図スピードを、どうやって2時間半にするか。

これはもう、とにかく描くしかありません。ここは効率よりも泥臭い努力が必要になります。ただし、ある程度枚数をこなしていくと、自分なりの時間短縮のための小技が編み出されてきますので、自然と効率も上がっていくはずです。作図に関するいろいろな留意事項もありますが、やはり何はともあれ、まずは5枚くらい描いてみてからの話です。

二級建築士の製図本試験は9/13(日)ですから、できればこの作図スピードを7月中に身に付けたいです。一級の製図本試験は10/11(日)ですから、8月上旬までを目標とします。

時には、本当に苦しく思うこともあると思いますが、製図試験は、学科試験を突破した者のみに与えられる特別ステージですので、誇りを持って頑張って頂ければと思います。

個人的には、学科よりも製図の勉強のほうが楽しかったです。
(6回受けてますが…。)

令和二年度の一級建築士学科試験を終えて

昨日は、令和二年度一級建築士学科試験がありました。
受験された皆様、本当にお疲れ様でした。
まずは、少し休んで下さい。戦士の休息をとりましょう!

受験した卒業生等の情報をまとめると、今年は「難しかった」ようで、基準点は今のところ90点前後で揺れ動いているみたいです。自己採点の結果、ボーダーライン上にある場合は、なかなか気持ちの切り替えが難しいと思いますが、とにかく9/8(火)の合格発表日を待ちつつ、製図試験の準備もしていきましょう。

そして、自己採点の結果、惜しくも基準点に届かなかった場合におきまして、この試験は本当に大変な試験であるが故に、軽々しく再受験することを強要することはできません。しかしながら、自分自身の心が、また挑戦する気持ちになるのであれば、是非とも頑張って頂きたいと切に思っています。

 

さて、一級も二級も学科試験が終わりました。
これから、いよいよ製図の戦いが始まります。
これからが本番です。

2~3日休んだら、まずは、昨年の製図本試験課題を模写してみましょう。その際、必ず時間計測を忘れずに行って下さい。当面の作図目標時間は、3時間を切ることですが、恐らく最初は10時間とか、かかるはずです。作図時間の短縮を図ると共に、エスキス力も養っていく必要があります。結局、最後はエスキス勝負となります。一級の製図試験は、建物規模が3,000㎡前後の場合が多いですが、与条件も多く、なかなかに難しいものとなっています。エスキスにかけられる時間はMAXで3時間くらいと考えていいです。それに加えて、計画の要点なるA3版の設計主旨的なものも書かなければなりません。これにかけられる時間は50分くらいです。トータルで6時間30分以内に完成させるというのが一級の製図試験です。

この辺りの話は、今後、本サイトにおいて、詳しくお話ししていきたいと考えています。興味のある方は、たまに覗いてみて下さい。

本日は、以上となります。
本当にお疲れ様でした。

試験前日~当日にかけてのメンタルの保ち方など

いよいよ今年の一級建築士学科試験が2日後に迫ってまいりました。ついに来たという感じがします。今年は開催されるはずだった東京オリンピックの影響で例年より2週間ほど早い試験日となっております。

以下、毎年同じようなことを言っていますが、本試験前日~当日にかけての過ごし方や、どうしても不安に思う気持ちの抑え方について個人的な考えをまとめてみました。受験生の皆様にとって、少しでも参考になれば幸いです。

『一つ言えることは、勉強すればするほど不安になっていくということです。逆に言うと、勉強しなければ、不安も何もありません。

例えば、模試などで思ったような結果を出すことが出来なくて「悔しい」と思うとき、勉強した量に比例して、その悔しさは増すのだと思います。一所懸命に勉強した(している)からこその悔しさであり、勉強していなければ、別に悔しいという気持ちは湧かないと思います。

ゆえに、不安であることは、今まで勉強してきたことの証であり、大いに自信を持っていいことだと思っています。特に、一級建築士学科試験の出題範囲は無限と思えるほどに広く、難易度も半端なものではありません。「もう、ここまで勉強すればO.K.」という限りがあるわけでなく、どこまで勉強しても無限の荒野が広がっているようなイメージが、自分にはありました。

ですが、今日まで頑張ってきたみなさんには、もう十分に合格するための実力が備わっています。

最後は自分を信じて、普段通りの気持ちで、普段通りに解いて来て下さい!

結果は、必ず後からついてきます!!

本試験前日の過ごし方についてですが、今までで一番出来が悪かった年度の過去問や模試を、もう一度学科ⅠからⅤまで解き直してみるという行為が精神安定上、最も良いような気がします。

あと、当日持っていく参考書とか問題集については、はっきり言って、会場ではそんなに勉強できるものではありませんので、各教科、自分にとってお守り的存在の1冊を持って行けば十分です。

受験票、シャーペン(鉛筆)、消しゴムがあれば、とりあえず試験を受けて来られます。この3点の持ち物確認は、最後に必ず行なって下さい。(法令集も忘れずに!)』

※今年は新型コロナウイルス感染症の影響により、試験会場では検温や体調確認が行われるなど、例年とは違った緊張感があるはずです。試験中、もしも緊張感が最大となり、パニック状態に陥ってしまった時は、まずはトイレに行きましょう。そして、目を閉じて深呼吸しましょう。
あまり重く考え過ぎず、気楽に受けて来て下さい。

構造計算ルートの問題

今一度、構造計算ルートの確認をしておきましょう。
大まかには、次のようにまとめられます。

ルート1(許容応力度計算及び屋根ふき材等の構造計算)
ルート2(許容応力度等計算)
ルート3(保有水平耐力計算)

ややこしいのは、建物規模等により上記ルートの選定が行われるのですが、鉄骨造の場合はルート1が1-1と1-2に分かれ、鉄筋コンクリート造の場合はルート2が2-1と2-2に分かれることです。さらに、鉄骨造のルート1-1と1-2の違いには階数や柱スパンが関係し、鉄筋コンクリート造のルート2-1と2-2の違いには壁量や柱量が関係します。

さらにさらに、上記3つのルートの他に限界耐力計算や時刻歴応答解析などがあります。

どの構造計算にするのかは法20条第1項において、第一号~四号建築物として、それぞれ規定がありますが、一級建築士試験において問われる箇所は、ある程度パターン化されています。
下記のような問題をよく確認しておきましょう。

 

学科Ⅳ(構造)(1級過去問 H28)
問 鉄筋コンクリート構造における建築物の耐震計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. 「ルート1」の計算において、コンクリートの設計基準強度を24N/mm2としたので、設計基準強度による割増し係数αを用いて、単位強度の割増しを行った。
  2. 「ルート2-1」の計算において、柱及び梁の靱性を確保するため、地震力によって生じるせん断力を割増した設計用せん断力が、安全性確保のための許容せん断力を超えないことを確かめた。
  3. 「ルート3」の計算において、両端ヒンジとなる梁部材の設計用せん断力の割増し係数を1.2とし、両端ヒンジとならない梁部材の設計用せん断力の割増し係数を1.1とした。
  4. 「ルート3」の計算において、崩壊メカニズム時にせん断破壊した柱部材の種別をFDとした。

 

 

(解答・解説)
  1. 正しい記述です。ちなみに、割増し係数αの最小値は1.0であり、最大値は√2です。
  2. 正しい記述です。なお、柱・梁の設計用せん断力(QD)は、QL+nQEもしくはQ0+Qyのうち、小さい方の値を用います。ここで、QL:長期荷重によるせん断力、QE:一次設計用地震力によるせん断力、n:割増係数、Q0:単純支持としたときの長期荷重によるせん断力、Qy:梁の両端が曲げ降伏するときのせん断力 です。
  3. 両端ヒンジとなる梁の割増し係数(n≧1.1)よりも両端ヒンジとならない梁の割増し係数(n≧1.2)の方が大きくなります。よって、誤った記述となります。
  4. 正しい記述です。ちなみに、FDの意味ですが、Fはフレーム(柱・梁)、Dは靱性の「判定」です(Aが靱性最大、Dが靱性最小)。

従いまして、答えは3.となります。