構造計算ルートの問題

今一度、構造計算ルートの確認をしておきましょう。
大まかには、次のようにまとめられます。

ルート1(許容応力度計算及び屋根ふき材等の構造計算)
ルート2(許容応力度等計算)
ルート3(保有水平耐力計算)

ややこしいのは、建物規模等により上記ルートの選定が行われるのですが、鉄骨造の場合はルート1が1-1と1-2に分かれ、鉄筋コンクリート造の場合はルート2が2-1と2-2に分かれることです。さらに、鉄骨造のルート1-1と1-2の違いには階数や柱スパンが関係し、鉄筋コンクリート造のルート2-1と2-2の違いには壁量や柱量が関係します。

さらにさらに、上記3つのルートの他に限界耐力計算や時刻歴応答解析などがあります。

どの構造計算にするのかは法20条第1項において、第一号~四号建築物として、それぞれ規定がありますが、一級建築士試験において問われる箇所は、ある程度パターン化されています。
下記のような問題をよく確認しておきましょう。

 

学科Ⅳ(構造)(1級過去問 H28)
問 鉄筋コンクリート構造における建築物の耐震計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. 「ルート1」の計算において、コンクリートの設計基準強度を24N/mm2としたので、設計基準強度による割増し係数αを用いて、単位強度の割増しを行った。
  2. 「ルート2-1」の計算において、柱及び梁の靱性を確保するため、地震力によって生じるせん断力を割増した設計用せん断力が、安全性確保のための許容せん断力を超えないことを確かめた。
  3. 「ルート3」の計算において、両端ヒンジとなる梁部材の設計用せん断力の割増し係数を1.2とし、両端ヒンジとならない梁部材の設計用せん断力の割増し係数を1.1とした。
  4. 「ルート3」の計算において、崩壊メカニズム時にせん断破壊した柱部材の種別をFDとした。

 

 

(解答・解説)
  1. 正しい記述です。ちなみに、割増し係数αの最小値は1.0であり、最大値は√2です。
  2. 正しい記述です。なお、柱・梁の設計用せん断力(QD)は、QL+nQEもしくはQ0+Qyのうち、小さい方の値を用います。ここで、QL:長期荷重によるせん断力、QE:一次設計用地震力によるせん断力、n:割増係数、Q0:単純支持としたときの長期荷重によるせん断力、Qy:梁の両端が曲げ降伏するときのせん断力 です。
  3. 両端ヒンジとなる梁の割増し係数(n≧1.1)よりも両端ヒンジとならない梁の割増し係数(n≧1.2)の方が大きくなります。よって、誤った記述となります。
  4. 正しい記述です。ちなみに、FDの意味ですが、Fはフレーム(柱・梁)、Dは靱性の「判定」です(Aが靱性最大、Dが靱性最小)。

従いまして、答えは3.となります。

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