少しずつ、無理をせず

お疲れ様です。久しぶりの更新となります。
勤めていた建築系専門学校が閉校となり、現在、自分は民間の建設会社にお世話になっております。今一度、実際に建築の会社に勤めてみて、改めて働きながらの勉強の大変さを実感しているところです。

建築士を目指す、特に独学の方にとって、本サイトがほんの少しでもお役に立てればと思い、また書き連ねていこうと思っています。

先日、令和3年度の二級建築士製図試験の合格発表がありました。
今年の試験では、超特大のビックリ玉が出題され、受験生を苦しめました。
それは、二級建築士試験史上初となる傾斜地だったことです。
一級の試験でさえ、傾斜地の出題はほとんどなかったはずです。

正直なところ、こういう出題の仕方は好きでありません。
努力に努力を重ねた者の努力を踏みにじるような悪意さえ感じます。
何故、このような出題となったのか。
極めて疑問に思います。

しかしながら。
厳しいようですが、これが建築士試験というものだと割り切るしかありません。
受験生にとっては、本当に大変なことですが、どんなに理不尽な出題のされ方をしようとも、黙ってそれを受け入れ、乗り越えていくしかないのです。

今回、残念な結果となってしまった受験生のみなさんへ。

今年の試験は、事故のようなものと割り切って下さい。
本気で今年合格するために一生懸命に努力したのであれば、例年であれば間違いなく合格していたはずです。大丈夫です。来年こそは絶対に合格できます。

今は、心折れ、何も手に付かない状況かもしれません。
特に角番だった方の心労は、相当なものであると推察します。

まず、今は、何も考えず、全てを忘れ、心穏やかに年末を過ごすことに全力を傾けましょう。

そして、年が明けて、少し心の傷が癒えたなら、また少し勉強する気力が芽生えたのなら、少しずつ、少しずつ出来ることから始めていきましょう。

絶対に努力が報われる日は来ます!
明けない夜はありません!!

 

戦いを終えて

今年の一級建築士製図試験が終わりました。

受験されたみなさん、本当にお疲れ様でした。

もう、今日から仕事という人が圧倒的に多かったと思いますが、まずは、心を休めて下さい。身体的な疲労も、もちろんあると思いますが、精神の休息を一番に考えて下さい。

夜も眠れぬ程の悔しい思いもあるかもしれません。

一級建築士製図試験に5度失敗した経験を持つ私は、そういう気持ちが自分のことのように痛いほど分かります。

しかし、

どんなにやらかしたと思っても、本当にマジで、合格発表のその瞬間まで、受験生全員に、可能性は等しく有ります。

ここから合格発表までの2ヶ月間こそが、ある意味、本当の試練かもしれません。なかなか気持ちを切り替えることは難しいかもしれませんが、試験に関するネット検索は厳禁として下さい。どうせ、結果は誰にも分かりません。できるだけ試験のことは考えないようにして、試験に関する情報はシャットアウトし、何事も無かったかのような日常を過ごした方が、精神衛生上、はるかに健康的です。

戦いを終えられた受験生のみなさんが、これから合格発表までの2ヶ月間を、心穏やかに過ごせますよう、切に願っております。

2ヶ月の我慢!

今年の一級建築士製図試験の課題『高齢者介護施設』は難しそうに見えます。その理由は、現段階で「階数」が分かっていないことに大きく起因しているものと思われます。もう、現時点においてビックリ玉が発動しているようなものなので、これ以上のサプライズはご勘弁してほしいところです。

エスキスの仕方は、従来の「3階建タイプ」と「基準階タイプ」とで、若干異なります。例年であれば、課題が発表された時点で、どちらのタイプかが明らかとなっていますので、どちらかに特化したエスキスの仕方を練習していけばいいことになります。

ここからは、極めて個人的な考察です。

課題発表時に建物のタイプを明らかにすると、全受験生はどちらか一方のタイプしか練習しないことになります。すなわち、建築計画的な実力差があまり出ない事態となり得ます。そこで、例年はいわゆるビックリ玉的なものを出題することで、受験生を心理的に動揺させるなどして、採点上の差を生み出しているのではないかと考えています。かなり穿った見方ですが、全く見当はずれでもないと思います。

今年は、どちらのタイプが出題されてもいいように学習していかなければなりません。考えようによっては、ビックリ玉による採点差(もちろんそれだけではありませんが)ではなく、エスキスがちゃんと出来るかどうかの本当の意味での実力勝負となります。つまり、例年以上に、正攻法できちんとエスキス力を身に付けた人が受かりやすい年になると考えます。

この試験は、運的な要素を完璧に排除することは難しい試験だと思っていますが、今年はそういう要素を排除した、本来のガチンコ勝負になりそうな気がしています。

製図初受験の方にとって、最初の3週間くらいは本当に苦しい時期だと思います。作図力を養いつつ、3,000㎡クラスの建物のエスキスの仕方や記述(計画の要点)についても学習していかなければなりません。特にエスキスについては、なかなか実力が付いていることを実感できないものです。しかし、そこを突破すると、ある時、覚醒します。この覚醒の時期には個人差がありますが、いずれ誰にでもその時はやって来ます。過去には、本試験の3日くらい前に、「分かりました!」と言って、そのまま合格した卒業生がいました。

苦しく、低迷の期間は長く続くかもしれませんが、その先の夜明けを信じて頑張って頂ければと思います。

試験前日~当日にかけてのメンタルの保ち方など

いよいよ今年の一級建築士学科試験が2日後に迫ってまいりました。ついに来たという感じがします。今年は開催されるはずだった東京オリンピックの影響で例年より2週間ほど早い試験日となっております。

以下、毎年同じようなことを言っていますが、本試験前日~当日にかけての過ごし方や、どうしても不安に思う気持ちの抑え方について個人的な考えをまとめてみました。受験生の皆様にとって、少しでも参考になれば幸いです。

『一つ言えることは、勉強すればするほど不安になっていくということです。逆に言うと、勉強しなければ、不安も何もありません。

例えば、模試などで思ったような結果を出すことが出来なくて「悔しい」と思うとき、勉強した量に比例して、その悔しさは増すのだと思います。一所懸命に勉強した(している)からこその悔しさであり、勉強していなければ、別に悔しいという気持ちは湧かないと思います。

ゆえに、不安であることは、今まで勉強してきたことの証であり、大いに自信を持っていいことだと思っています。特に、一級建築士学科試験の出題範囲は無限と思えるほどに広く、難易度も半端なものではありません。「もう、ここまで勉強すればO.K.」という限りがあるわけでなく、どこまで勉強しても無限の荒野が広がっているようなイメージが、自分にはありました。

ですが、今日まで頑張ってきたみなさんには、もう十分に合格するための実力が備わっています。

最後は自分を信じて、普段通りの気持ちで、普段通りに解いて来て下さい!

結果は、必ず後からついてきます!!

本試験前日の過ごし方についてですが、今までで一番出来が悪かった年度の過去問や模試を、もう一度学科ⅠからⅤまで解き直してみるという行為が精神安定上、最も良いような気がします。

あと、当日持っていく参考書とか問題集については、はっきり言って、会場ではそんなに勉強できるものではありませんので、各教科、自分にとってお守り的存在の1冊を持って行けば十分です。

受験票、シャーペン(鉛筆)、消しゴムがあれば、とりあえず試験を受けて来られます。この3点の持ち物確認は、最後に必ず行なって下さい。(法令集も忘れずに!)』

※今年は新型コロナウイルス感染症の影響により、試験会場では検温や体調確認が行われるなど、例年とは違った緊張感があるはずです。試験中、もしも緊張感が最大となり、パニック状態に陥ってしまった時は、まずはトイレに行きましょう。そして、目を閉じて深呼吸しましょう。
あまり重く考え過ぎず、気楽に受けて来て下さい。

取りこぼしてはいけない計画の問題

昨日は、二級建築士学科試験の本試験でした。
難易度としては、ほぼ例年通りだったようです(恐らく各教科の足切り点は13点、基準点は60点になるものと思われます)。自己採点の結果、合格点に届いている場合は、即製図試験の準備をしましょう! 毎年、学科試験で燃え尽きてしまう卒業生がいますが、当然のことながら製図試験を突破しないと二級建築士にはなれません。大変にキツい試験ですが、これが建築士試験です。もう一度気合いを入れ直して精進していきましょう。
今年の二級建築士製図試験についてはコチラ

また、自己採点の結果、不合格となってしまった場合は、今一度、今までの自分の勉強スタイルというものを見つめ直し、今後のことを考えていきましょう。可能であれば、来年度に向けて諦めずに頑張ってほしいと思います。

そして、今度は一級学科の本試験(7/12(日))がやって来ます。自分が把握している限りにおいて、専門学校の卒業生では5名程が挑戦する予定です。
とにかく取りこぼしをしないこと!
これに尽きます。
そういう意味で、下の問題は、絶対に取りこぼしてはいけない代表格の問題です。勉強の合間の息抜きにでも気楽に解いてみて下さい。

 

学科Ⅰ(計画)(1級過去問 H25)
問 住宅に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー構造を有し、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスの提供等に関して一定の基準を満たし、単身高齢者世帯、高齢者夫婦世帯等の居住の安定を確保するための賃貸等の住宅である。
  2. コレクティブハウスは、各住戸の独立性を保ちながら、子育てや家事等の作業を共同で担い合う相互扶助的なサービスと住宅とを組み合わせた集合住宅である。
  3. シルバーハウジング・プロジェクトは、高齢者の生活特性に配慮した住宅及び附帯施設の供給並びにライフサポートアドバイザーにより福祉サービスの提供を行う地業である。
  4. コーポラティブハウスは、建築主が入居希望者の意見に従い建築する賃貸集合住宅である。

 

 

(解答・解説)
  1. 設問は、正しい記述です。
  2. 超頻出の設問です。正しい記述ですので、頭に叩き込んでおきましょう。
  3. 設問は、正しい記述です。
  4. 超頻出の設問です。コーポラティブハウスとは、自ら居住するための住宅を建設しようとする者が組合を結成して、企画・計画から建設・入居・管理まで行う協同組合運営方式の集合住宅です。設問は、誤った記述となります。

従いまして、答えは4.となります。

以上、「コレクティブハウス」と「コーポラティブハウス」の違いに関する出題に対しては、必ず得点できるように明確にしておきましょう!
意外にも本試験では、こういう問題を取りこぼしてしまいがちですので要注意です!!

構造みたいな法規の問題

法規の中で構造系の問題は、なるべく法令集を引かずに解けるようにならなければなりません。そういう意味で、とにかく必ず得点しなければならない問題の一つと言うこともできます。こういう問題を如何に取りこぼさずに得点できるかが合格のカギです。

これからの1ヶ月間の過ごし方が、合否に直結します。

時には、自分の実力を疑うような場面もあるかもしれません。
思うように模試の点数が伸びないときもあるかもしれません。
意味もなく、落ち込むこともあるかもしれません。

ですが、大丈夫です。
ここまで、本気で勉強して来たのであれば、必ず合格します!

新しいことをする必要はありません。
ひたすら、今までの復習に努めましょう。

ただし! 漠然と復習することは止めましょう!
主として、自分の苦手な箇所を重点的に復習しましょう。そして、過去問においては、正答枝以外の選択枝についても、解説を丁寧に丁寧に、ちゃんと意識して精読しましょう!!

 

学科Ⅲ(法規)(1級過去問 H26)
問 コンクリートの強度等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

  1. 設計基準強度が21N/mm2以下のコンクリートのせん断に対する材料強度は、圧縮に対する材料強度の1/10である。
  2. コンクリートの材料強度の算定における設計基準強度の上限の数値は、特定行政庁が規則で定めることができる。
  3. 鉄筋コンクリート造に使用するコンクリートの四週圧縮強度を求める場合においては、国土交通大臣が指定する強度試験によらなければならない。
  4. コンクリートの短期に生ずる力に対する圧縮の許容応力度は、設計基準強度の3/4である。

 

 

(解答・解説)

  1. 令第97条第1項表により、正しい記述です。
  2. 令第91条第2項により、正しい記述です。
  3. 令第74条第2項により、正しい記述です。
  4. 令第91条第1項の表により、誤った記述です。短期に生ずる力に対する圧縮の許容応力度は、設計基準強度の2/3となります。

従いまして、答えは4.となります。

確固たる「うろ覚え」

今回は、最近、試験勉強に対してモチベーションが下がり気味な受験生のみなさんへ、エールの気持ちを込めました。

 

建築士の学科試験の範囲は、膨大であります。
そして、記憶の精度が要求されます。

特に、一級建築士試験におきましては、その傾向がより顕著であり、常に勉強のゴールが霞んでいる感覚があると思います。

実際、ここまで勉強すればO.K.という明確な線引きはありません。
出題範囲は無限と言っていいです。

このことは、個人的に超苦手な教科である「計画」に、特にあてはまります。その中でも現代史においては、次々に新しい建物が世界中で出現しており、それらを全て覚えるなんてことは、不可能だと思っています(あくまでも個人的にですが)。

計画、環境・設備、法規、構造、施工という5教科それぞれが、たっぷりとボリューミーであり、覚えなければならない項目の多さから、目眩や吐き気を覚えます。

では、どうするか。

結局、過去問です。
とにかく、ひたすら、くり返しくり返し、過去問をやるしかないのです。

例えば、この前紹介した総合資格学院のスーパー7であれば、過去7年分の過去問と詳細な解説が載っていますから、それを、ただひたすらくり返し解くだけです。(もしも万が一、まだ、1周目も終わってないような場合は、まず答えを見てしまいましょう。それから問題文を読みます。)

特に、独学者は、もうひたすらくり返すしかありません。私自身、基本的に独学でしたが、恐らく10周以上はくり返したと思います(資格学校に通われている場合は、学校の用意するレールがあるわけですが、それでも、くり返し解くという基本スタンスは変わらないはずです。)

結構、闇雲に、ただひたすらくり返すだけでも、意外と覚えていく感覚があると思います。今の時代は、いろんなアプリがあったりするので、そういうものを併用すれば、さらに効率もアップすると思います。

今回、私が一番伝えたいのは、「うろ覚え」を単なる「うろ覚え」とせず、しかし、あくまでも完璧を目指すのではなくて、まずは「確固たるうろ覚え」を目指せということです。

建築士の学科試験は、本当に範囲が広いので、全てを完璧に覚えるのは不可能です。もちろん、絶対に完璧に覚えなければならない用語や公式はあります。しかし、それも、これも、どれも、最初から完璧に覚えようとするのではなく、まずは少しずつ、「うろ覚え」から始めましょう。

昨日は何にも覚えていなかった項目が、今日は「うろ覚え」となり、そして明日には「今日よりは理解しているうろ覚え」となって、やがて「確固たるうろ覚え」とでも言うべき、うろ覚えの最上級グレードとなるはずです。

要するに何が言いたいのかというと、建築士試験は、通常、学校を卒業した後に働きながらの勉強になるので、なかなか勉強時間を確保できません。そうした日々の不十分な学習時間の中で、あまり気持ちを張り詰めすぎず、まずは出来ることから一つずつ、覚えられることから一つずつ、あまり気負いすぎず、「うろ覚え」から始めようぜ! ということを言いたいのです。

「例え、明日死ぬことが分かっているとしても、今日、新しいことを始めてはならない理由にはならない。」

昔、古畑任三郎のテレビドラマで、田村正和が逮捕した犯人に対して言ってた言葉だったような(うろ覚えです)。

試験まで、あと1ヶ月ちょとですが、今からでも出来ることはあるはずです。もう、1ヶ月ちょっとしかないから、勉強しても無駄…、ではないのです! まだ、1ヶ月ちょっともあるのです。今からでも決して遅くはないのです。

まずは、「うろ覚え」から始めましょう!!

(結局、単なる根性論になってしまいました。)