細粒分含有率の問題

建築系の資格試験において、次のような選択枝は頻出です。

『細粒分含有率が低い地盤では、液状化現象が起こりにくい。』

この選択枝の正誤を判断するためには、「細粒分含有率」と「液状化現象」という2つのキーワードの意味を把握する必要があります。

【細粒分含有率(=細粒土含有率)】
簡単に言うと、粘土・シルトを細粒分と言います。
つまり、「細粒分含有率が低い」とは、ザックリ言うと粘土分が低いということになります(ちなみに、砂・れきを粗粒分と言います)。
結果として、細粒分含有率が低い地盤とは砂質地盤と考えることができます。

【液状化現象】
主として砂質地盤で起こるとされています。
比較的均一な粒径の砂質地盤が、地震動などの振動によって流動化してしまう現象のことを言います。つまり、粘土地盤では極めて起こりにくいということになります。

以上のことを念頭に、もう一度、上述の選択枝を考えてみます。

『細粒分含有率が低い地盤では、液状化現象が起こりにくい。』

すなわち、細粒分含有率が低い地盤→粘土分が低い→砂質分が高い→砂質地盤ということであり、液状化現象は砂質地盤で起こりやすいので、この選択枝は誤りということになります。

あと、他にも液状化現象が起こりやすい条件というのがあって、「N値が15以下」とか「20m以浅の沖積層」とか「細粒分含有率が35%以下」等々です。

ただし、勉強の仕方というか覚え方のコツとしましては、まずはザックリと大枠を押さえて、それから詳細を脳に染み込ませていくようなイメージで取り組んでいきましょう。

本試験では、初めて目にするような選択枝も出題されますが、意外とそういうときに役に立つのが、ザックリと覚えている事柄だったりします。

今回は、以上となります。

張り石・タイル張り工事の問題

本日は、施工です。
下の問題は、難問だと思います。
1級の施工では、プレキャストコンクリートの問題が頻出で、かつ、細かい数値を問われますので、覚えるのが大変です。
ちょっとしたすき間時間にでも、気楽に眺めてみて下さい。

 

学科Ⅴ(施工)(1級過去問 H28)
問 張り石工事及びタイル張り工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. 張り石工事における外壁乾式工法において、石材取付け用ファスナーの面外調整機構を考慮して、下地となるコンクリート部材の位置の許容差を、±10mmとした。
  2. 張り石工事における石先付けプレキャストコンクリート工法において、シアコネクターの取付け代を考慮して、コンクリート部材に先付けされる石材の厚さを、20mmとした。
  3. セメントモルタルによるタイル後張り工法における改良圧着張りにおいて、張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、2㎡以下とし、かつ、60分以内に張り終える面積とした。
  4. セメントモルタルによるタイル後張り工法において、外壁タイルの引張接着強度を確認する試験体の数は、100㎡ごと及びその端数につき1個以上とし、かつ、全体で3個以上とした。

 

(解答・解説)
  1. 正しい記述です(JASS9)。
  2. プレキャストコンクリート部材に先付けされる石材の厚さは、25mm以上とします。25mm未満だと、シアコネクターなどの取付けが困難となり、安全性・耐久性が低下するとされています(JASS9)。よって、誤った記述となります。
  3. 正しい記述です(公共建築工事標準仕様書)。
  4. 正しい記述です(JASS19)。
従いまして、答えは2.となります。

積算の基本問題

二級建築士学科試験が今度の日曜日(7/5)まで迫ってまいりました。泣いても笑っても、あと1週間です。最後まで悔いのないよう頑張って頂ければと思います。

今回は積算の問題です。二級では施工教科として出題されますが、一級では計画の教科として出題されます。基本的な内容ですので、よく確認しておきましょう!

 

学科Ⅰ(計画)(1級過去問 H26)
問 建築積算に関する次の記述のうち、建築工事建築数量積算研究会「建築数量積算基準」に照らして、最も不適当なものはどれか。
  1. 「計画数量」は、設計図書に表示されていない施工計画に基づいた数量をいい、仮設や土工の数量等がこれに該当する。
  2. 「所要数量」は、「定尺寸法による切り無駄」や「施工上やむを得ない損耗」を含んだ数量をいい、鉄筋、鉄骨、木材等の数量がこれに該当する。
  3. 窓、出入口等の開口部による型枠の欠除は、原則として建具類等の開口部の内法寸法で計算し、開口部の内法の見付面積が1か所当たり0.5㎡以下の場合は、原則として型枠の欠除はないものとする。
  4. 石材による主仕上げの計測・計算において、1か所当たりの面積が0.5㎡以下の開口部による石材の欠除については、原則として、ないものとする。

 

(解答・解説)
  1. 正しい記述です。
  2. 正しい記述です。
  3. 正しい記述です。
  4. 石材による主仕上げの計測・計算において、1か所当たりの面積が0.1㎡以下の開口部による石材の欠除については、原則として、ないものとしますので、誤った記述となります。
従いまして、答えは4.となります。

防水工事の問題

下の問題はH26年の過去問ですが、難易度としては難しい部類に入ると思います。しかしながら、ほぼ同様の選択枝はH14年にも出題されています。H26年時点においては、12年前の過去問ということになります。そういう意味で、いかに過去問を学習することが重要かということが分かります。

 

学科Ⅴ(施工)(1級過去問 H26)
問 防水工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. シーリング工事において、鉄筋コンクリート造の建築物の外壁に設けるひび割れ誘発目地については、目地底にボンドブレーカーを使用せずに、シーリング材を充填する三面接着とした。
  2. シート防水工事において、合成樹脂系シートを用いた接着工法については、立上り部及び平場のシート張付けに先立ち、出隅角及び入隅角に成形役物を張り付けた。
  3. 塗膜防水工事において、補強布については、下地によくなじませ、しわや耳立ちが生じないように防水材で張り付けた。
  4. 改質アスファルトシート防水工事において、立上り部の防水層の末端部については、押え金物を用いて留め付け、ゴムアスファルト系シーリング材を充填した。

 

 

(解答・解説)

  1. 頻出の選択枝です。鉄筋コンクリート造の外壁のようなノンワーキングジョイントでは、3面接着とします。カーテンウォールのパネル回りのようなワーキングジョイントでは、2面接着とします。よって、正しい記述です。
  2. 難しい選択枝ですが、過去(H14)にも出題されています。設問のシート防水の場合、出入隅角はシート施工後に成形役物を張付けますので、誤った記述となります。
  3. 正しい記述です。なお、補強布の重ね幅は50mm程度とします。
  4. JASS8により、正しい記述です。

従いまして、答えは2.となります。

設備工事(施工)の問題

下の問題は、学科Ⅴ(施工)において、本試験では間違いなく得点しなければならない問題です。ですが、意外と、「あれっ?」となる要素を含んでいます。

本試験前に、曖昧な数値や用語を、もう一度しっかりと確認しておきましょう!

 

学科Ⅴ(施工)(1級過去問 H25)
設備工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 電気設備工事において、二重天井内の鋼製ケーブルラックの支持間隔を2m以内とし、直線部と直線部以外との接続部に近い箇所で支持した。
  2. 配管の埋設工事において、給水管と排水管が平行する部分については、両配管の水平実間隔を300mmとし、給水管を排水管の上方に埋設した。
  3. 屋内の横走り排水管の勾配の最小値を、管の呼び径75のものについては1/100、呼び径150のものについては1/200とした。
  4. 軽量鉄骨間仕切壁内に合成樹脂製可とう電線管(PF管)を配管するので、その支持間隔を1.5m以下とし、バインド線を用いて支持した。

 

 

(解答・解説)

  1. 正しい記述です。設問の通り、ケーブルラックの支持間隔は、鋼製では2m以下とします。なお、その他の場合については1.5m以下とします。
  2. 給水管と排水管が平行する部分については、両配管の水平実間隔を500mm以上とし、給水管を排水管の上方に埋設します。よって、誤った記述となります。
  3. 正しい記述です。排水横管の「管径と勾配の組合せ」については頻出事項ですので、よく確認しておきましょう。
  4. 正しい記述です。合成樹脂製可とう電線管にはPF管(白色で耐燃性)とCD管(オレンジ色で非耐燃性)があります。どちらもコンクリートに埋設可能であり、露出して使用する場合などは、一般的にPF管を使用します。コンクリート埋設で使用する場合は、1m以下の間隔で鉄筋に結束します。設問の場合(軽量鉄骨間仕切壁内で使用するPF管の場合)と支持(取付)間隔が異なりますので注意が必要です。
    詳しくはコチラ

従いまして、答えは2.となります。

鉄骨工事(施工)の問題

一級も二級も施工教科は25点満点です。本試験時には構造教科と一緒に問題が配られます。試験時間は2教科合わせて、一級は2時間45分、二級は3時間です。

(極めて個人的な感想ですが、一級の試験においては、構造と施工を15分短縮して2時間30分とし、法規に+15分してほしいなあと、いつも思ってしまいます。まあ、叶わぬ願いでしょうけれども。)

文章題においては、構造と施工の教科は結構かぶっている内容が多いです。構造で問われるような内容のことが、施工で問われたり、その逆のパターンもあったりします。

学科Ⅴ(施工)(1級過去問 H28)
問 鉄骨工事の高力ボルト接合に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 溶融亜鉛めっき高力ボルトの接合において、M20とM22の一次締めトルクは、100N・mとした。
  2. 高力六角ボルトM20のナット回転法による本締め後の検査において、全てのボルトについて、一次締め完了後に付したマークのずれにより、ナットの回転量が120度±30度の範囲にあるものを合格とした。
  3. トルシア形高力ボルトの締付け後の検査において、ボルトの余長については、ナット面から突き出た長さが、ねじ1山~6山の範囲にあるものを合格とした。
  4. F8Tの溶融亜鉛めっき高力ボルトM20の孔径については、22mmとした。

 

 

(解答・解説)
以下は、全てJASS6(鉄骨工事)によります。

  1. 溶融亜鉛めっき高力ボルトの接合において、M20とM22の一次締めトルクは150N・mです。なお、100N・mでいいのはM16の場合です。よって、誤った記述となります。
  2. 正しい記述です。高力六角ボルトのナット回転法について、よく出題される正しい選択枝として、「合格範囲を超えて締め付けられたボルトは取り替える」や「ナットの回転量が不足しているボルトについては、所要のナット回転量まで追い締めする」などがあります。
  3. 設問は正しい記述です。トルシア形高力ボルトと高力六角ボルトの検査方法の違いについて確認しておきましょう。
  4. 正しい記述です。設問は頻出の選択枝です。高力ボルトの孔径については、公称軸径が27mm未満の場合→公称軸径+2.0mm、公称軸径が27mm以上の場合→公称軸径+3.0mmとなります。ボルトの場合は、公称軸径+0.5mmとなります(ただし、建築基準法施行令68条4項によれば+1mm、最大+1.5mmとなっており、JASS(標準仕様書:学会規準)とは数値が異なります)。高力ボルトとボルトとでは、その接合機構によって孔径が全く違いますので注意が必要です。

よって、答えは1.となります。

合成樹脂可とう電線管の問題

先日、在校生から、RC造の授業の中で、CD管とPF管の違いについて質問がありました。在校生からこういう質問がある時点で、個人的にはよく勉強しているなあと非常に感心してしまいます。今年の試験日については、まだ不透明な部分がありますが、いずれ来たるそのときに向けて、コツコツと努力を続けていきましょう!

なお、今回は一級過去問「施工」からの紹介ですが、「構造」としても問われることがありますし、二級でも問われる内容です。

 

問 次の記述の正誤を判定せよ。

①H23年一級過去問 学科Ⅴ(施工)
コンクリートスラブに埋設する合成樹脂製可とう電線管(CD管)については、スラブの上端筋と下端筋との間に配管し、専用支持具等を用いて1m以下の間隔で下端筋に結束した。

②H25年一級過去問 学科Ⅴ(施工)
軽量鉄骨間仕切壁内に合成樹脂製可とう電線管(PF管)を配管するので、その支持間隔を1.5m以下とし、バインド線を用いて支持した。

 

 

(解答・解説)
結論からいうと、どちらも正しい記述です。
CD管はコンクリート埋設専用で、PF管は露出配管もコンクリート埋設も可能です。設問のようにPF管を軽量鉄骨間仕切壁内で使用する場合は、支持間隔を1.5m以内としますが、コンクリートに埋設する場合の支持間隔は、CD管もPF管も1m以内とします。厳密には、もっと細かくて、ややこしい規定があるようですが、建築士試験に必要な基礎知識としては、以下にまとめたようなもので十分と思われます。参考にしてみて下さい(ちょっと、それぞれの英語表記はあやしいですが)。

 

【合成樹脂可とう電線管】
○CD管(Combined Duct)(耐燃性がない)

  • オレンジ色(ほぼ全メーカー共通)
  • 自己消火性が無い(火がついたら燃え続ける)
  • PF管よりも価格が安い
  • 原則として、コンクリート埋設専用

 

○PF管(Plastic Flexible conduit)

  • 基本色はベージュ系(結構、いろんな色がある)
  • 自己消火性がある(火がついてもすぐ消える)
  • CD管に比べて価格が高い
  • 露出配管・隠ぺい部配管・コンクリート埋設が可能

H28年二級建築士学科試験 施工(木工事)の問題

H28年二級建築士試験 学科Ⅳ(施工)からの出題です。

問 木工事の用語とその説明との組合わせとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。

  1. ひき立て寸法 ー 木材を製材した状態の木材断面寸法
  2. 仕上り寸法 ー かんな掛け等で木材表面を仕上げた後の部材断面寸法
  3. たいこ材 ー 構造用製材のうち、丸太の随心を中心に平行する2平面のみを切削した材
  4. 仕口 ー 2つ以上の部材に、ある角度をもたせた接合
  5. 本ざね加工 ー 板材等の側面に溝を彫り、その溝に細長い木片をはめ込む加工

 

【解答・解説】
本問は、一級建築士試験においても出題される内容です。上述の中で特に「ひき立て寸法」と「仕上り寸法」の違いについては、きちんと区別できるようにしておきましょう。1.と2.の設問はどちらも正しい記述ですので、そのまま覚えてしまいましょう。答えは、5.となります。設問の説明が、雇いざねのものとなっています。以下に、簡単なイラストを付記しますので、参考にしてみて下さい。本ざねとは、木片の側面に凹凸の加工を施したものです。
近年は、二級建築士試験においても、結構な頻度で一級の過去問から出題されますし、二級で難問とされていた過去問(特に木造系)が、一級で出題されたりしています。取り扱う建物規模の違いはあるにせよ、二級建築士試験のいっそうの難化傾向が見て取れます。今年、二級建築士試験に挑戦される場合は、是非とも気合いを入れて頑張って下さい!!