資格学校と独学(学科試験の場合)

【学科試験の場合】
資格学校に通うと、資格学校独自のアレンジ問題を解くことが出来ますし、資格学校の学習スケジュールに則って勉強を進めて行けばいいという気楽さがあります。参考書や問題集などの教材も豊富ですし、小テストや模試を受けることで、各自の弱点分野の把握や補強を行うことができ、分からないところは質問することができます。ただし、授業料は高額です。資格学校の授業内容が、その額に見合った内容かどうかということは、人それぞれで大いに判断が分かれるところだと思います。

独学の場合、授業料なるものは一切かかりません。せいぜい問題集の費用くらいです。ただし、自分の弱点部分の把握や学習の進め方など全てを自分自身で行っていく必要があります。が、極めて個人的な見解ですが、資格学校に通うにしても、独学でいくにしても、1日最低3時間の学習時間は確保しなければなりませんので、自分で自己管理できるという人は、独学で全く問題ないと思われます。

あとは、各自の考え方次第です。

100%独学でもいいでしょうし、まず1年目は資格学校に通ってみて、ダメだったら2年目は独学にしてみるとか、最初は独学で、後で資格学校にしてみるとか、100%資格学校とか、いろいろなパターンが考えられると思います。

ただ、結局のところ、過去問を勉強するという大前提に変わりはありません。資格学校に通おうが、独学だろうが、結局は過去問をベースに学習していくことに変わりはないのです。

この辺りは大学の受験勉強に似ています。

資格学校に通うのであれば、やっぱりお金の問題が大きいと思いますし、受講生を合格させるために行っていることとは言え、営業等からの様々な勧誘があることは、ある程度覚悟しなければなりません(頻度や内容については各資格学校で違うと思います)。あと、自分も数年間、某資格学校で講師をしていましたが、少なくとも自分の周りの講師陣は(自分も含めて)、それこそ全力で受講生を合格させるために取り組んでいました。念のため。

独学の場合は、基本、自由なので、余程自分を厳しく律していかないと勉強を全くしない日が何日も続くことになります(まあ、学校に通っていても同じようなことは言えますが)。

以上のことを踏まえ、自分に合った勉強スタイルを考えてみて下さい。

来年の学科試験に向けて

卒業生の方から、来年の学科試験合格に向けて、今から何をすべきかという質問を受けましたので、以下にまとめてみたいと思います。

今の時期においては、1級も2級も共通だと思います。

すなわち、ズバリ「力学」と「法規」です。

力学においては、基本項目について、当サイトの過去ログをご参照下さい。まずは、「モーメント」と「曲げモーメント」の違い等について、明確にしておきましょう!(モーメントは外力、曲げモーメントは応力(内力)を意味します。)

そして、極めて単純な「単純梁」のM図とQ図の基本事項を押さえておきましょう!(詳しくはコチラ

1級・2級共通の出題として、3ヒンジ系ラーメン構造とトラス構造の問題があります。次回から、これらの問題の過去問を実際に解いてみたいと思いますが、いわゆる静定構造物の問題については、必ず得点できるように今から勉強しておく必要があります。

力学を苦手とする卒業生は比較的多いですが、力学は最終的には最も安定的な得点源となり得ますので、諦めずに何度も解き直すようにして下さい。

次に法規ですが、法規を億劫に思う卒業生も多いです。

法規の勉強を億劫に思う一番の原因は、法令集を引かなければならないということだと思います。そこで、オススメなのが、「法規のウラ指導」という書籍です。この問題集は、過去問ごとに関係する条文が記載されていますので、いちいち法令集を引かなくても流し読み出来ます。特に、法規の1周目の勉強に威力を発揮する書籍だと思っています。読んだことがない人は、是非一度読んでみて下さい。

法規教科の最終的な目標は、他の教科と同じように、法令集を引かなくても問題を解けるようになることです。全ての問題を法令集なしで解くことは難しいかもしれませんが、慣れてくると7割方の問題は法令集を引かなくても解けるようになります。

矛盾するようですが、2周目からは、何度も何度も法令集を引きます。一度見た条文には、必ずマーカーしておくことを忘れないようにして下さい。何度も何度も法令集を引いていると、よく見る条文と、そうでない条文が分かってきます。何度も何度も法令集を引いていると、そのうち、よく見る条文の条番号が自然に頭に入り、内容も覚えるようになります。この行為は、出来れば今のうちから始めるべきです。来年のゴールデンウィークの頃に、スイスイ法令集が引けるようになっていれば、ほぼ合格は間違いありません!!

以上、とりあえず、来年の学科試験に向けて、今すぐ着手すべき事項を挙げてみました。

長丁場ではありますが、頑張りましょう!!!

学科試験の勉強の仕方(一例)

今一度、初受験における建築士学科試験の勉強の仕方をお伝えしておきます。(以下に示すのは、あくまでも個人的な勉強の仕方ですが、是非参考にしてみて下さい。)

まずは、市販のもので構いませんので、過去問が10年分くらい載っている問題集を準備します。資格学校に通われる場合は、資格学校の問題集を使って下さい。

基本的に、最低3周を目指し、可能であれば10周を目指します。

【1周目】
キーワードは、とにかくザックリです。
建築士試験の全容を知ることが一番の目的です。
細かいことは気にしなくていいです。一級建築士の学科試験であれば、計画,環境・設備,法規,構造,施工の5科目の出題内容を知ることが目的となります。

そのために、まずは解答・解説を見てしまいます。それから、問題を解いて下さい。その際、解答番号は必ずノートに書き留め、問題集には直接書き込まないようにします。気になるキーワードなどもノートにメモして下さい。

いきなり問題を解き始めてしまうと、問題が難しすぎる場合、そこで勉強するのが嫌になってしまいます。これを防ぐために、まず、解答・解説を読みます。こうすることで、初見の難問に対する抵抗感がかなり薄まります。

そして、1周目は、とにかくザックリです。

全ての問題及び解答・解説をテキトーに流し読みして下さい。とにかく、問題集一冊にまるまる目を通すことに主眼を置きます。

10年分の過去問であれば、1日1年とすれば10日で終わります。どんなに時間をかけたとしても、3週間あれば終わるはずです。

一日の最低目標学習時間は3時間以上です。

【2周目】
一転して、とにかく一問一問時間をかけ、じっくり解いていきます。普通に問題を解いて、その後に解答・解説を見ますが、分からなければ、すぐに答えを見ましょう。気になったり、分からない用語・フレーズは、解説をじっくり読んだり、ネットで調べたりして、一問一問、納得しながら進めて下さい。

2周目が、一番キツいです。

ここを、いかに乗り越えるかにかかっています。

環境・設備や力学の計算問題を始め、法規なども、じっくり勉強していきます。10年分の過去問であれば、3ヶ月~4ヶ月くらい必要かもしれません。

ここでも、とにかく問題集自体は真っさらな状態を維持し、気になることは全てノートに書き込んでいきます。

2周目が終わったとき、この時点で70%以上の合格レベルに達しているはずです。

【3周目】
本試験さながらに、時間計測をしながら、何も見ずにガチで解いて下さい。

択一問題の一枝一枝を正確に読み取っていくことを忘れないで下さい。

計画、環境・設備、法規、構造、施工のそれぞれ5教科を解き終わった後で採点し、間違った問題のみ、詳しく見直します。

ここで間違ってしまう問題は、恐らく苦手とする箇所ですので、重点的に復習する必要があります。何故間違ってしまったのか、何故苦手だと思うのか、そういう感想もノートに書いておいてもいいかもしれません。

【4周目以降】
あとは、ひたすら3周目のくり返しです。
常に問題集を真っさらな状態にしておくことで、何度でも解き直すことが可能です。注意点としては、くり返し過去問を解いていくと、正しい選択枝を読み飛ばすようになってしまうので、そこは意識して、ちゃんと読むようにして下さい。

以上、10周くり返せば、ほぼ合格できるはずです。

10年分の過去問で不安がある場合は、本サイトに合格ロケット(旧合格物語)へのリンクがありますので、参考にしてみて下さい。

また、資格学校に通われる場合は、そこでのカリキュラムを遂行しつつ、とにかく、くり返し学習するということを意識して勉強してみて下さい。

一つ言えることは、独学だろうが、資格学校に通おうが、自分自身が勉強しなければ受からないということです(極めて当たり前のことですが)。全ては誰のためでもなく、自分のためです。

苦しいときもあるとは思いますが、来年7月の学科試験の合格を目指し、全力で頑張って頂ければと思います。

私も、全力で応援します!

令和二年度の一級建築士学科試験を終えて

昨日は、令和二年度一級建築士学科試験がありました。
受験された皆様、本当にお疲れ様でした。
まずは、少し休んで下さい。戦士の休息をとりましょう!

受験した卒業生等の情報をまとめると、今年は「難しかった」ようで、基準点は今のところ90点前後で揺れ動いているみたいです。自己採点の結果、ボーダーライン上にある場合は、なかなか気持ちの切り替えが難しいと思いますが、とにかく9/8(火)の合格発表日を待ちつつ、製図試験の準備もしていきましょう。

そして、自己採点の結果、惜しくも基準点に届かなかった場合におきまして、この試験は本当に大変な試験であるが故に、軽々しく再受験することを強要することはできません。しかしながら、自分自身の心が、また挑戦する気持ちになるのであれば、是非とも頑張って頂きたいと切に思っています。

 

さて、一級も二級も学科試験が終わりました。
これから、いよいよ製図の戦いが始まります。
これからが本番です。

2~3日休んだら、まずは、昨年の製図本試験課題を模写してみましょう。その際、必ず時間計測を忘れずに行って下さい。当面の作図目標時間は、3時間を切ることですが、恐らく最初は10時間とか、かかるはずです。作図時間の短縮を図ると共に、エスキス力も養っていく必要があります。結局、最後はエスキス勝負となります。一級の製図試験は、建物規模が3,000㎡前後の場合が多いですが、与条件も多く、なかなかに難しいものとなっています。エスキスにかけられる時間はMAXで3時間くらいと考えていいです。それに加えて、計画の要点なるA3版の設計主旨的なものも書かなければなりません。これにかけられる時間は50分くらいです。トータルで6時間30分以内に完成させるというのが一級の製図試験です。

この辺りの話は、今後、本サイトにおいて、詳しくお話ししていきたいと考えています。興味のある方は、たまに覗いてみて下さい。

本日は、以上となります。
本当にお疲れ様でした。

試験前日~当日にかけてのメンタルの保ち方など

いよいよ今年の一級建築士学科試験が2日後に迫ってまいりました。ついに来たという感じがします。今年は開催されるはずだった東京オリンピックの影響で例年より2週間ほど早い試験日となっております。

以下、毎年同じようなことを言っていますが、本試験前日~当日にかけての過ごし方や、どうしても不安に思う気持ちの抑え方について個人的な考えをまとめてみました。受験生の皆様にとって、少しでも参考になれば幸いです。

『一つ言えることは、勉強すればするほど不安になっていくということです。逆に言うと、勉強しなければ、不安も何もありません。

例えば、模試などで思ったような結果を出すことが出来なくて「悔しい」と思うとき、勉強した量に比例して、その悔しさは増すのだと思います。一所懸命に勉強した(している)からこその悔しさであり、勉強していなければ、別に悔しいという気持ちは湧かないと思います。

ゆえに、不安であることは、今まで勉強してきたことの証であり、大いに自信を持っていいことだと思っています。特に、一級建築士学科試験の出題範囲は無限と思えるほどに広く、難易度も半端なものではありません。「もう、ここまで勉強すればO.K.」という限りがあるわけでなく、どこまで勉強しても無限の荒野が広がっているようなイメージが、自分にはありました。

ですが、今日まで頑張ってきたみなさんには、もう十分に合格するための実力が備わっています。

最後は自分を信じて、普段通りの気持ちで、普段通りに解いて来て下さい!

結果は、必ず後からついてきます!!

本試験前日の過ごし方についてですが、今までで一番出来が悪かった年度の過去問や模試を、もう一度学科ⅠからⅤまで解き直してみるという行為が精神安定上、最も良いような気がします。

あと、当日持っていく参考書とか問題集については、はっきり言って、会場ではそんなに勉強できるものではありませんので、各教科、自分にとってお守り的存在の1冊を持って行けば十分です。

受験票、シャーペン(鉛筆)、消しゴムがあれば、とりあえず試験を受けて来られます。この3点の持ち物確認は、最後に必ず行なって下さい。(法令集も忘れずに!)』

※今年は新型コロナウイルス感染症の影響により、試験会場では検温や体調確認が行われるなど、例年とは違った緊張感があるはずです。試験中、もしも緊張感が最大となり、パニック状態に陥ってしまった時は、まずはトイレに行きましょう。そして、目を閉じて深呼吸しましょう。
あまり重く考え過ぎず、気楽に受けて来て下さい。

本試験日までにやるべきこと

一級建築士学科試験(7/12(日))が、いよいよ近付いてまいりました。そこで、これから本試験日までの勉強の仕方や心構えについて書きとめてみたいと思います。

基本的に、新しいことをする必要はありません。
自分が今までに学習してきた問題集などを徹底的に復習しましょう。可能ならば、今から全教科3周を目指します。その際、正答枝以外の選択枝についても丁寧に目を通しましょう。
あとは、自分自身の中でいつも間違ってしまう問題や苦手な問題などの弱点部分の見直し及び補強を行いましょう。

上記以外のことは、しなくていいです。
もう、時間は限られていますので、余計なことは考えずに、ひたすら復習して下さい。

本試験で、一つ注意というか、今から留意して頂きたいことは、とにかく「問題文をよく読む」ということです。極めて当然で基本的なことですが、猛勉強している人ほど、「こうくればこう」という直観が働きすぎて、問題文をよく読まずに誤答してしまうことが起こり得ます(このことは、『一級建築士受験 合格者たちの勉強法(荘司和樹)』にも書かれています)。

今まで、本気で勉強してきたのであれば、とにかく問題文をよく読み、ケアレスミスさえしなければ、十分に合格できる力は備わっています。結局のところ、最後は自分を信じるしかありません。

健康管理には十分に気を付けてお過ごし頂ければと思います。

 

学科Ⅱ(環境・設備)(1級過去問 H28)
問 換気設備・排煙設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. ボイラー室等の燃焼機器を使用する機械室の換気方式は、第3種換気とする。
  2. 置換換気(ディスプレイスメント・ベンチレーション)は、汚染物質が周囲の空気より高温又は軽量の場合に有効である。
  3. 隣接した二つの防煙区画において、一般に、防煙垂れ壁を介して一方の区画を自然排煙、他方の区画を機械排煙とすることはできない。
  4. 機械排煙設備において、天井の高さが3m未満の居室に設ける排煙口の設置高さ(下端高さ)は、一般に、天井から80cm以内、かつ、防煙垂れ壁の下端より上の部分とする。

 

(解答・解説)
  1. 頻出の選択枝です。本問は二級でもよく問われる内容です。ボイラー室等の燃焼機器を使用する機械室は、燃焼に必要な新鮮な空気の供給が必要です。よって、周辺の室等から汚染された空気が流入しないように、室内の圧力を正圧に保つ必要があります。そういう意味で、設問の第3種換気は室内が負圧になるので、適切ではありません。従いまして、誤った記述です。なお、室内を正圧に保つためには、第1種換気か第2種換気とする必要があります。
  2. 正しい記述です。置換換気(ディスプレイスメント・ベンチレーション)は、天井高さが高い空間への利用が適しています。
  3. 正しい記述です。一般に、設問のような防煙区画の境界部には、床まで到達する防煙シャッター等を設けなければなりません。
  4. 正しい記述です。やや難解な条文ですが、令126条の3第1項第三号( )内に記載されています。

以上のことより、答えは1.となります。

令和二年度二級建築士製図試験課題について

ちょっと遅くなりましたが、今年の二級建築士製図試験の課題についての現時点における考察をしてみたいと思います。

6/10(水)にJAEICより、令和二年度二級建築士試験「設計製図の試験」の課題が発表になりました。

 

【課題名】
『シェアハウスを併設した高齢者夫婦の住まい(木造2階建て)』

【要求図書】
  • 1階平面図兼配置図(縮尺1/100)
  • 2階平面図(縮尺1/100)
  • 2階床伏図兼1階小屋伏図(縮尺1/100)
  • 立面図(縮尺1/100)
  • 矩計図(縮尺1/20)
  • 面積表
  • 計画の要点等

 

近年の課題は、コンペとかコンクールみたいです。
今年の課題で、個人的に一番注目しているポイントは、フルバージョンの矩計図の復活です。その分、断面図がなくなりました。A2版という限られた製図用紙に描く関係上、どうしても敷地の大きさに制約を受けますが、断面図をなくして矩計図を復活させ、従来の図面構成に戻りましたので、昨年までよりも敷地を少し大きくすることができるようになりました。よって、今年の課題である(ちょっと面積が大きくなりそうな)シェアハウス併設住宅が可能となったのだと思われます。

最近の木造住宅課題の場合、延べ面積が200㎡を超えるような計画になることはほとんどなかったと思われますが、今年は基本的に200㎡以上での計画となるかもしれません(排煙計画等については、あくまでも課題文の要求によります)。

規模が大きくなると、当然、エスキスに要する時間も増えますし、作図時間も増えます(特に1階平面図兼配置図)。今の時期においては、2階床伏図兼1階小屋伏図の描き方の復習と矩計図の基本形の暗記に努めましょう。7月の第2週からは、エスキス主体の勉強方法にシフトチェンジします。8月に入ってからは、ひたすらエスキス~作図の反復練習(とういうか訓練)になりますので、その時期において、まだ伏図や矩計図が描けないということがないように、今のうちにしっかり学習しておきましょう。

あと、個人的に今年の課題に思うこととして、「高齢者夫婦の住まい」ということから、何となく既存の住宅を(単なるリフォームではなく)リノベーションして使うイメージがありますが、恐らく「新築」だと思われますので、その辺りの課題構成というか出題のされ方に興味があります。かつて一級の製図試験(確かH17年?)で出題されたような、リフォームを伴う課題の可能性もビックリ玉としてあるかもしれません。

いずれにしましても、木造住宅の課題として学習する内容に大きな違いはありませんので、くり返しになりますが、まずは伏図や矩計図などの基本図面の学習に徹しましょう。

今後も、本サイトにおいて、今年の課題についての留意事項等について考察していきたいと思っていますので、興味のある方は、たまに覗いてみて下さい。

環境工学の用語の問題

環境・設備の教科は構造力学と同じように、公式を覚えなければならない問題やグラフを読み取る問題が多く出題されます。全ての教科に言えることだと思いますが、初見では解きにくさを感じても、10回くらい繰り返して解くと得意になります。極めて個人的な感覚ですが、初めはクリア出来なかったステージが、繰り返し練習することによってスキルが上がり、クリア出来るようになるという(アクション)ゲームの感覚に似ています。

とにかく苦手な分野をひたすら繰り返し勉強し、苦手な問題をひたすら繰り返し解き直し、少しずつ少しずつ得意な分野と問題を増やしていきます。ひたすらこの繰り返しです。

正直なところ、時にはくじけそうになることもあると思いますが、一度「やる」と決めたからには、なにはともあれ最優先事項は「勉強」です。先日も、本校卒業生が質問しに来ていましたが、最後は人生相談的な話になってしまいました。

みんな悩んでいます。自分も悩んでいます。悩みだらけの日々です。
今度、飲みに行きましょう!!

と、いうことで、過去問紹介です。

 

学科Ⅱ(環境・設備)(1級過去問 H28)
問 環境工学における用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. PMVは、室内の温熱感覚に関係する、気温、放射温度、相対湿度、気流速度、人体の代謝量及び着衣量を考慮した温熱環境指標である。
  2. 照度は、目で見た明るさに直接的な関わりがあり、屋内照明器具による不快グレアの評価に用いられる。
  3. プルキンエ現象は、暗所視において、比視感度が最大となる波長が短い波長へずれる現象である。
  4. 残響室法吸音率は、残響室内に試料を設置した場合と設置しない場合の残響時間を測定して、その値をもとに算出する試料の吸音率である。

 

 

(解答・解説)

  1. PMV(Predicted Mean Vote:予測平均温冷感申告)は、設問の通り、温熱環境指標です。こういうPMVのようなワードは、必ず何の頭文字なのか、その英単語を調べてみましょう。例えば、Voteは「投票する」という意味ですから、何人かの申告(投票)によって平均(Mean)的な寒暖の感じ方を予測した(Predicted)指標ということが分かります。
    あと、関連してPPD(Predicted Percentage of Dissatisfied:予測不快者率)という指標もあります。これは、何%(Percentage)の人がその環境に不満(Dissatisfied)を持っているかを予測したものです。
  2. 不快グレアの評価に用いられるのは、照度ではなく、輝度です。輝度の単位は、cd(カンデラ)/㎡またはlm(ルーメン)/(㎡・sr(ステラジアン))さらにはnt(ニト)で表されます。
    なお、照度は目で見た明るさに間接的な関わりがあり、単位は、lx(ルクス)またはlm/㎡で表されます。
    よって、設問は誤った記述となります。
  3. 「プルキンエ現象」は頻出用語です。通常の出題のされ方としては、暗い所では、青色を明るく感じ、赤色を暗く感じるというものだと思いますが、設問では色を波長の長短で表すことにより、難度が上がっています。
  4. 残響室法吸音率についての説明は、設問の通り正しい記述となります。あと、残響時間の計算式として、セービン(Sabine)の式も頻出ですので、よく押さえておきましょう。
    セービンの式 T = 0.161V/A
    T:残響時間(秒) V:室の容積(㎥) A:室の吸音力(㎡)
    (なお、A=室内の平均吸音率×室内の総表面積(㎡))

よって、答えは2.となります。

建築事例系の問題1

極めて個人的な感想ですが、学科Ⅰ(計画)という教科は水物です。あくまでも個人的にですが、5教科の中で一番得点の計算が、しにくい教科だと思っています。その要因として、建築事例の問題が挙げられます。結局のところ、覚えるしかないのですが、この覚えるという行為(暗記ともちょっと違う感覚)が、大変、苦しく感じるものです。

あまり、一気に覚えようとせず、1日1問(四事例)くらいずつを最低の目安としましょう。それでも、本試験まで、まだ30日くらいありますから、今日から始めれば、120事例は覚えることになります!

理想は、コーヒーでも飲みながら、楽しんで建築雑誌でも見て、それが自然な記憶として頭の中に残っている状態をつくることです。まあ、これがなかなか難しいのですが…。

自分は、過去10年分の建築事例の問題のみをまとめてノートに書き出し、ネットでそれぞれの建築物の画像を調べて見ていました。この作業は、必ず他の勉強の合間に行い、コーヒーを飲みながら休憩の一環として行っていました。今はYouTubeでも、かなり詳しい建築事例が見られるようですので、昼食を食べながら見てもいいかもしれません。

 

学科Ⅰ(計画)(1級過去問 H28)
問 住宅の作品名(設計者)とその計画上の特徴に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. イームズ自邸(チャールズ&レイ・イームズ)は、再組立が可能という理念のもと、形鋼やスチールサッシ等の工業製品を用いて建築された住宅である。
  2. ゲーリー自邸(フランク・O・ゲーリー)は、既存の木造住宅に、安価な材料である金網やトタン板、ベニヤ板の破片等を組み合わせて増改築を行った、ポストモダンを代表する住宅の一つである。
  3. ヒラルディ邸(ルイス・バラガン)は、不整形敷地に建つ地上4階建ての医院併用住宅であり、台形の平面をもつ医院と矩形の平面をもつ住居は、中庭のスロープによって繋がれている。
  4. フィッシャー邸(ルイス・カーン)は、二つの矩形のボリュームが45度の角度をもって接合され、一方には2層の個室群が配置され、もう一方には2層分の高さの居間をもつ、幾何学的な構成の住宅である。

 

 

(解答・解説)
3. ヒラルディ邸(ルイス・バラガン)は、キーワードとして「パティオ(中庭)」、「食堂内のプール」、「ショッキングピンクの外観色」などが挙げられます。設問の特徴(キーワード:「4階建ての医院併用住宅」、「台形の平面をもつ医院」、「中庭のスロープ」など)は、クルチェット邸(ル・コルビュジェ)のものです。よって、誤った記述となります。

他の選択枝は正しい記述です。
よって、答えは3.となります。

おすすめの書籍

建築士試験の受験という観点から、特に推奨したい書籍をご紹介させて頂きます。ここで紹介する書籍は、特に独学されている方におすすめですが、資格学校に通われている方でも、一読しておいて損はないと思われます。

まず何と言っても、個人的に圧倒的におすすめしたい本が「ツボ」シリーズです。自分が受験していた頃は、構造系のものしかありませんでしが、今は法規のものも出版されています。構造設計の「ツボ」を読むことによって、構造という教科に自信が持てるようになりました。例えば、構造特性係数Dsについての考え方などが、非常に分かりやすく簡潔に書かれています。この本の特に気に入っている点は、全てが「簡潔」に書かれているところです。余計な解説はほとんどありません。ピンポイントでその問題を解くための、まさに「ツボ」が記されています。ご購入の際は、力学系と文章題系と2冊ありますので、気をつけて下さい。自分はどちらも購入しました。

次に助かった本は「法規のウラ指導」です。一度、建築士試験を受けられている方は十分にご承知されていると思いますが、本試験時において、法規の教科は本当に時間が不足します。特に一級建築士試験においては、30問を105分で解かなければなりません。1問あたり3.5分です。全ての選択枝を1枝1枝丁寧に吟味するなんてことは、ほぼ不可能です。つまり、如何に法令集を引かずに解くかということが重要になってきます。この本の良い点は、例題を解くのに必要な箇所の条文が全て掲載されているので、法令集を一切引かずに流し読みできるというところです。このことは、非常に大きなメリットだと言えます。法規の勉強は、どうしても法令集を引かなければならないので、面倒くさくて億劫になりがちです。しかし、この本はベッドの上とかで、気楽に眺めることができ、しかも、法令集を引かずに解くという習慣を身に付けることができます。一級建築士試験を受けようと思われている方にとって、買って損はない書籍だと思います。

ここまで、構造(力学含む)と法規のおすすめの書籍について書いてきました。
正直なところ、他の3教科(計画・環境設備・施工)についての推奨書籍は持ち合わせていません。強いて言えば、とにかく過去問集を参考にしたということでしょうか。もちろん構造と法規についても同様のことが言えますが、この2教科は配点が大きい(30点ずつの計60点)ので、ここで確実に50点とるために、上記の書籍を活用しました。

最後に、過去問集について記したいと思います。自分が使用した過去問集は、総合資格学院の「スーパー7」です。もちろん、他の資格学校や出版社のものでも全く構わないと思います。若干、年数としては不足していると思われますので、不安がある場合は「合格物語」というサイトを参考にしてみて下さい。自分は利用したことはありませんが、20年分の過去問が手に入るようです。興味のある方は、訪れてみて下さい。当サイトに関連機関のリンクがありますので、ご活用下さい。

あと、自分は製図試験に関しては、「ウラ指導」や「とるぞ!.Net」のお世話になりました。その辺の話は後日したいと思います。