設備工事(施工)の問題

下の問題は、学科Ⅴ(施工)において、本試験では間違いなく得点しなければならない問題です。ですが、意外と、「あれっ?」となる要素を含んでいます。

本試験前に、曖昧な数値や用語を、もう一度しっかりと確認しておきましょう!

 

学科Ⅴ(施工)(1級過去問 H25)
設備工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 電気設備工事において、二重天井内の鋼製ケーブルラックの支持間隔を2m以内とし、直線部と直線部以外との接続部に近い箇所で支持した。
  2. 配管の埋設工事において、給水管と排水管が平行する部分については、両配管の水平実間隔を300mmとし、給水管を排水管の上方に埋設した。
  3. 屋内の横走り排水管の勾配の最小値を、管の呼び径75のものについては1/100、呼び径150のものについては1/200とした。
  4. 軽量鉄骨間仕切壁内に合成樹脂製可とう電線管(PF管)を配管するので、その支持間隔を1.5m以下とし、バインド線を用いて支持した。

 

 

(解答・解説)

  1. 正しい記述です。設問の通り、ケーブルラックの支持間隔は、鋼製では2m以下とします。なお、その他の場合については1.5m以下とします。
  2. 給水管と排水管が平行する部分については、両配管の水平実間隔を500mm以上とし、給水管を排水管の上方に埋設します。よって、誤った記述となります。
  3. 正しい記述です。排水横管の「管径と勾配の組合せ」については頻出事項ですので、よく確認しておきましょう。
  4. 正しい記述です。合成樹脂製可とう電線管にはPF管(白色で耐燃性)とCD管(オレンジ色で非耐燃性)があります。どちらもコンクリートに埋設可能であり、露出して使用する場合などは、一般的にPF管を使用します。コンクリート埋設で使用する場合は、1m以下の間隔で鉄筋に結束します。設問の場合(軽量鉄骨間仕切壁内で使用するPF管の場合)と支持(取付)間隔が異なりますので注意が必要です。
    詳しくはコチラ

従いまして、答えは2.となります。

鉄筋コンクリート造の問題(構造)

1級の構造でよく出題される内容は、不静定構造物やその物終局時の応力算定についてです。また、強度と剛性が絡んだ文章題も頻出です。

基本的に、
許容応力度の検討には「強度」が関係し、
たわみの検討には「剛性」が関係します。
詳しくはコチラ

これらの部分を、まずはしっかりと押さえておきましょう!

 

学科Ⅳ(構造)(1級過去問 H25)
問 鉄筋コンクリート構造の部材の性能に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 柱の曲げ剛性を大きくするために、引張強度の大きい主筋を用いた。
  2. 耐力壁のせん断剛性を大きくするために、壁の厚さを大きくした。
  3. 梁の終局せん断強度を大きくするために、あばら筋の量を増やした。
  4. 耐力壁の終局せん断強度を大きくするために、コンクリートの圧縮強度を大きくした。

 

(解答・解説)
  1. 原則として、鉄筋の引張強度を大きくしても、鉄筋のヤング係数は変わらないので、部材の曲げ剛性には影響しません。このことは、鉄骨造の梁のたわみに関する鉄骨材の特徴として頻出の事項です。また、RC造において、部材の曲げ剛性EIの算定は、ヤング係数(E)も断面二次モーメント(I)もコンクリート断面の値を用います。よって設問は誤った記述ということになります。
  2. 正しい記述です。なお、せん断剛性は、せん断弾性係数Gと断面積Aに比例します。また、鉄およびコンクリートのせん断弾性係数は、ヤング係数の約0.4倍です。
  3. 正しい記述です。なお、RC造の「梁」において、長期荷重に対してひび割れを許容しない場合は、せん断補強筋(梁:あばら筋)の効果を考慮しませんので、注意が必要です。
  4. 正しい記述です。設問の内容は、一応、平19国交告594号第4三ハの表中から読み取ることができますが、かなり難解です。表中の耐力壁のせん断耐力Qwの式から、コンクリートの設計基準強度Fcが大きくなると、このときの耐力壁のせん断耐力が大きくなることが分かります。

従いまして、答えは1.となります。

※鉄とコンクリートそれぞれの強度とヤング係数の関係については、頻出の内容ですので各材料の「応力度-ひずみ度曲線」を、もう一度よく確認しておきましょう!

法規の融合問題

法令集なしで挑戦してみて下さい。

 

学科Ⅲ(法規)(1級過去問 H28)

問 次の記述のうち、建築基準法上誤っているものはどれか。

  1. 床が地盤面下にあり天井の高さが3mである階で、地盤面から天井までの高さが2m以下のものは、地階である。
  2. 高等学校における生徒用の階段で、避難階以外の階から避難階又は地上に通ずる屋外の直通階段の幅は、140cm以上としないことができる。
  3. 病院における病室の窓その他の開口部で採光に有効な部分の面積は、用途地域に関係なく算定することができる。
  4. 集会場の用途に供する床面積300㎡の居室に、換気に有効な部分の面積が15㎡の窓を設けた場合においても、所定の技術的基準に従って、換気設備を設けなければならない。

 

(解答・解説)

  1. 令第1条第二号により、正しい記述です。
  2. 令第23条第1項ただし書きにより、正しい記述です。
  3. 令第20条第1項及び第2項により、誤りであることが分かります。採光補正係数は、用途地域の区分に応じて計算します。
  4. 法第28条第3項、令第20条の2第一号により、正しい記述であることが分かりますが、本設問はやや難解です。ポイントは、令第20条の2第一号の( )書だと思います。法別表第1(い)欄(1)項に掲げる特殊建築物の居室には、同条第一号ロからニまでの、いずれかによる換気設備を設けなければならない。と、あります。

従いまして、答えは3.となります。

いずれにしましても、上記の問題におきましては、答えとして3.の選択枝を選ぶことは、そんなに難しくないと思いますが、2.とか4.の選択枝の正誤判断に時間を消費してしまうと残りの問題の解答時間が厳しくなっていきます。特に学科Ⅲ(法規)は、時間管理の訓練(練習)を意識して勉強しましょう。

製図試験でも問われる環境・設備の基本問題

先日、二級建築士製図試験の課題が発表になりましたが、ちょっと見落としていた点がありました。今年は、フルバージョンの矩計図が復活したんですね。その分、断面図が無くなりました。個人的には、バランスのとれた図面配分になったと思います。まずは、矩計図の暗記をしましょう!その上で、平面計画によって、梁や大引き、根太の方向が変わってきますので、それらに対応できる応用力を養っていきましょう!!

さて、今回の学科過去問紹介の範囲は、一級の製図試験で求められる『計画の要点』において、頻出の内容です。一級の製図試験では、平成21年より、A2版の図面の他に、A3版の『計画の要点』なる設計主旨的な記述が求められるようになりました。その記述において、特に最近はパッシブデザインについて問われることが多いです。そういう意味で、環境・設備に限らず、他の全ての学科試験の勉強が、製図試験に直結していると言えます。

 

学科Ⅱ(環境・設備)(1級過去問 H24)

問 日照・日射・採光に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. ライトシェルフは、室内照度の均斉度を高めるとともに、直射日光を遮蔽しながら眺望を妨げない窓システムである。
  2. 春分の日と秋分の日において、水平面上に立てた鉛直棒の直射日光による影の先端の軌跡は、ほぼ直線となる。
  3. 窓面における日照・日射の調整について、一般に、水平ルーバーは西向き窓面に、垂直ルーバーは南向き窓面に、設置すると効果的である。
  4. 高所において、鉛直や鉛直に近い向きで設置される窓を頂側窓といい、特に北側採光にすると安定した光環境が得られる。

 

(解答・解説)

  1. 設問はライトシェルフについての正しい記述です。
  2. この設問は頻出問題です。太陽と影の動きについては、必ず確認しておきましょう。正しい記述です。
  3. 一般に夏期における南面は太陽高度が高くなるので、水平ルーバーが効果的です。また、太陽高度が低くなる西面においては、垂直ルーバーが効果的です。よって、誤った記述となります。
  4. ハイサイドライト(頂側窓)についての正しい記述です。

従いまして、答えは3.となります。

建築事例系の問題2

一級建築士試験の難易度は、やっぱり難しいです。学科試験の合格率は18%前後、製図試験の合格率は40%前後、総合での合格率は10~12%前後です。問題の難易度に対する捉え方には、多分に個人差が存在しますので、一概にも言えませんが、少なくとも簡単ではないと思います。挑戦する場合には、余程の覚悟をもって取り組む必要があると思います。

とりあえず、自分は学科Ⅰ(計画)は苦手でした(特に建築事例系)。
とにかく、知ってるか、知らないか、ただそれだけ、という非情な冷たさを個人的には感じます。

 

学科Ⅰ(計画)(1級過去問 H21)
問 建築や都市に関する歴史的著作物(著者名)とその説明との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。

  1. 都市の文化(ルイス・マンフォード)→ パスやランドマーク等、都市のイメージを形成する五つの要素を抽出した。
  2. 明日の田園都市(エベネザー・ハワード)→ 農村と都市の結合体としての田園都市を構想し、その経営方法についても論じた。
  3. 広場の造形(カミロ・ジッテ)→ 都市計画の芸術的側面を重視し、古代、中世、ルネサンスのヨーロッパの都市における広場の造形を分析・評価した。
  4. 建築書(ウィトルーウィウス)→ 現存する最古の建築理論書といわれ、ルネサンスの建築家に強い影響を与えた。

 

 

(解答・解説)

  1. 都市の文化(ルイス・マンフォード)では、現代の大都市が陥りやすい種々の問題について論じられています。設問の内容は、「都市のイメージ(ケヴィン・リンチ)」ですので、誤りです。

2.~4.は、それぞれ正しい組合せ(記述)となります。

よって、答えは1.となります。

鉄骨工事(施工)の問題

一級も二級も施工教科は25点満点です。本試験時には構造教科と一緒に問題が配られます。試験時間は2教科合わせて、一級は2時間45分、二級は3時間です。

(極めて個人的な感想ですが、一級の試験においては、構造と施工を15分短縮して2時間30分とし、法規に+15分してほしいなあと、いつも思ってしまいます。まあ、叶わぬ願いでしょうけれども。)

文章題においては、構造と施工の教科は結構かぶっている内容が多いです。構造で問われるような内容のことが、施工で問われたり、その逆のパターンもあったりします。

学科Ⅴ(施工)(1級過去問 H28)
問 鉄骨工事の高力ボルト接合に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 溶融亜鉛めっき高力ボルトの接合において、M20とM22の一次締めトルクは、100N・mとした。
  2. 高力六角ボルトM20のナット回転法による本締め後の検査において、全てのボルトについて、一次締め完了後に付したマークのずれにより、ナットの回転量が120度±30度の範囲にあるものを合格とした。
  3. トルシア形高力ボルトの締付け後の検査において、ボルトの余長については、ナット面から突き出た長さが、ねじ1山~6山の範囲にあるものを合格とした。
  4. F8Tの溶融亜鉛めっき高力ボルトM20の孔径については、22mmとした。

 

 

(解答・解説)
以下は、全てJASS6(鉄骨工事)によります。

  1. 溶融亜鉛めっき高力ボルトの接合において、M20とM22の一次締めトルクは150N・mです。なお、100N・mでいいのはM16の場合です。よって、誤った記述となります。
  2. 正しい記述です。高力六角ボルトのナット回転法について、よく出題される正しい選択枝として、「合格範囲を超えて締め付けられたボルトは取り替える」や「ナットの回転量が不足しているボルトについては、所要のナット回転量まで追い締めする」などがあります。
  3. 設問は正しい記述です。トルシア形高力ボルトと高力六角ボルトの検査方法の違いについて確認しておきましょう。
  4. 正しい記述です。設問は頻出の選択枝です。高力ボルトの孔径については、公称軸径が27mm未満の場合→公称軸径+2.0mm、公称軸径が27mm以上の場合→公称軸径+3.0mmとなります。ボルトの場合は、公称軸径+0.5mmとなります(ただし、建築基準法施行令68条4項によれば+1mm、最大+1.5mmとなっており、JASS(標準仕様書:学会規準)とは数値が異なります)。高力ボルトとボルトとでは、その接合機構によって孔径が全く違いますので注意が必要です。

よって、答えは1.となります。

鉄骨材料についての問題

昨日、JAEICより二級建築士製図試験の課題が発表となりました。

「シェアハウスを併設した高齢者夫婦の住まい」
(木造2階建て)

コンペとかコンクールみたいな課題ですが、原則的には、各種図面をA2版の製図用紙に描き切れるくらいの規模の木造2階建てということですので、まずは、きちんと伏図とか矩計図などの基本を押さえておきましょう。

この時期、二級の製図課題が発表されると、いよいよ建築士試験の戦いが始まるなあという気がします。

さあ、いよいよこれからです。
頑張っていきましょう!!

 

学科Ⅳ(構造)(1級過去問 H28)
問 鋼材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 建築構造用TMCP鋼は、化学成分の調整と水冷型熱加工制御法により製造され、板厚が40mmを超え100mm以下の材であっても、40mm以下の材と同じ基準強度が保証されている。
  2. SN材C種は、B種の規定に加えて板厚方向の絞り値の下限が規定されており、溶接加工時を含め板厚方向に大きな引張応力が発生する角形鋼管柱の通しダイアフラム等に用いられている。
  3. SN490B材は、SS400材に比べて、降伏点、引張強さ、ヤング係数のいずれも大きい。
  4. ステンレス鋼は、約11%以上のクロムを含む合金鋼であり、炭素鋼に比べて、耐食性、耐火性等に優れている。

 

 

(解答・解説)

  1. TMCP(Thermo-Mechanical ControlProcess)鋼についての正しい記述です。
  2. 建築構造用圧延鋼材(SN材)には、A種、B種、C種があり、A種は塑性変形性能を期待しない小ばりや間柱等に使用されます。B種は降伏比の上限が規定されていて、塑性変形性能が保証されています。使用箇所は柱・大梁等の構造耐力上主要な部位となります。C種はB種の性能に加え、板厚方向の引張力に対する性能の規定があり、通しダイアフラムに使用されます。よって、正しい記述となります。なお、B種もC種もシャルピー吸収エネルギーの規定があり、靱性が保証されていて、頻出の事項です。最近は、二級建築士試験でも出題されます。
  3. 鋼材のヤング係数は、強度に関わらず一定(2.05×105N/mm2)であることを覚えておきましょう。よって、誤った記述です。
  4. 正しい記述です。ステンレス鋼は、一般的な炭素鋼に比して、耐食性にも耐火性にも優れます。

従いまして、答えは3.となります。

構造みたいな法規の問題

法規の中で構造系の問題は、なるべく法令集を引かずに解けるようにならなければなりません。そういう意味で、とにかく必ず得点しなければならない問題の一つと言うこともできます。こういう問題を如何に取りこぼさずに得点できるかが合格のカギです。

これからの1ヶ月間の過ごし方が、合否に直結します。

時には、自分の実力を疑うような場面もあるかもしれません。
思うように模試の点数が伸びないときもあるかもしれません。
意味もなく、落ち込むこともあるかもしれません。

ですが、大丈夫です。
ここまで、本気で勉強して来たのであれば、必ず合格します!

新しいことをする必要はありません。
ひたすら、今までの復習に努めましょう。

ただし! 漠然と復習することは止めましょう!
主として、自分の苦手な箇所を重点的に復習しましょう。そして、過去問においては、正答枝以外の選択枝についても、解説を丁寧に丁寧に、ちゃんと意識して精読しましょう!!

 

学科Ⅲ(法規)(1級過去問 H26)
問 コンクリートの強度等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

  1. 設計基準強度が21N/mm2以下のコンクリートのせん断に対する材料強度は、圧縮に対する材料強度の1/10である。
  2. コンクリートの材料強度の算定における設計基準強度の上限の数値は、特定行政庁が規則で定めることができる。
  3. 鉄筋コンクリート造に使用するコンクリートの四週圧縮強度を求める場合においては、国土交通大臣が指定する強度試験によらなければならない。
  4. コンクリートの短期に生ずる力に対する圧縮の許容応力度は、設計基準強度の3/4である。

 

 

(解答・解説)

  1. 令第97条第1項表により、正しい記述です。
  2. 令第91条第2項により、正しい記述です。
  3. 令第74条第2項により、正しい記述です。
  4. 令第91条第1項の表により、誤った記述です。短期に生ずる力に対する圧縮の許容応力度は、設計基準強度の2/3となります。

従いまして、答えは4.となります。

環境工学の用語の問題

環境・設備の教科は構造力学と同じように、公式を覚えなければならない問題やグラフを読み取る問題が多く出題されます。全ての教科に言えることだと思いますが、初見では解きにくさを感じても、10回くらい繰り返して解くと得意になります。極めて個人的な感覚ですが、初めはクリア出来なかったステージが、繰り返し練習することによってスキルが上がり、クリア出来るようになるという(アクション)ゲームの感覚に似ています。

とにかく苦手な分野をひたすら繰り返し勉強し、苦手な問題をひたすら繰り返し解き直し、少しずつ少しずつ得意な分野と問題を増やしていきます。ひたすらこの繰り返しです。

正直なところ、時にはくじけそうになることもあると思いますが、一度「やる」と決めたからには、なにはともあれ最優先事項は「勉強」です。先日も、本校卒業生が質問しに来ていましたが、最後は人生相談的な話になってしまいました。

みんな悩んでいます。自分も悩んでいます。悩みだらけの日々です。
今度、飲みに行きましょう!!

と、いうことで、過去問紹介です。

 

学科Ⅱ(環境・設備)(1級過去問 H28)
問 環境工学における用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. PMVは、室内の温熱感覚に関係する、気温、放射温度、相対湿度、気流速度、人体の代謝量及び着衣量を考慮した温熱環境指標である。
  2. 照度は、目で見た明るさに直接的な関わりがあり、屋内照明器具による不快グレアの評価に用いられる。
  3. プルキンエ現象は、暗所視において、比視感度が最大となる波長が短い波長へずれる現象である。
  4. 残響室法吸音率は、残響室内に試料を設置した場合と設置しない場合の残響時間を測定して、その値をもとに算出する試料の吸音率である。

 

 

(解答・解説)

  1. PMV(Predicted Mean Vote:予測平均温冷感申告)は、設問の通り、温熱環境指標です。こういうPMVのようなワードは、必ず何の頭文字なのか、その英単語を調べてみましょう。例えば、Voteは「投票する」という意味ですから、何人かの申告(投票)によって平均(Mean)的な寒暖の感じ方を予測した(Predicted)指標ということが分かります。
    あと、関連してPPD(Predicted Percentage of Dissatisfied:予測不快者率)という指標もあります。これは、何%(Percentage)の人がその環境に不満(Dissatisfied)を持っているかを予測したものです。
  2. 不快グレアの評価に用いられるのは、照度ではなく、輝度です。輝度の単位は、cd(カンデラ)/㎡またはlm(ルーメン)/(㎡・sr(ステラジアン))さらにはnt(ニト)で表されます。
    なお、照度は目で見た明るさに間接的な関わりがあり、単位は、lx(ルクス)またはlm/㎡で表されます。
    よって、設問は誤った記述となります。
  3. 「プルキンエ現象」は頻出用語です。通常の出題のされ方としては、暗い所では、青色を明るく感じ、赤色を暗く感じるというものだと思いますが、設問では色を波長の長短で表すことにより、難度が上がっています。
  4. 残響室法吸音率についての説明は、設問の通り正しい記述となります。あと、残響時間の計算式として、セービン(Sabine)の式も頻出ですので、よく押さえておきましょう。
    セービンの式 T = 0.161V/A
    T:残響時間(秒) V:室の容積(㎥) A:室の吸音力(㎡)
    (なお、A=室内の平均吸音率×室内の総表面積(㎡))

よって、答えは2.となります。

建築事例系の問題1

極めて個人的な感想ですが、学科Ⅰ(計画)という教科は水物です。あくまでも個人的にですが、5教科の中で一番得点の計算が、しにくい教科だと思っています。その要因として、建築事例の問題が挙げられます。結局のところ、覚えるしかないのですが、この覚えるという行為(暗記ともちょっと違う感覚)が、大変、苦しく感じるものです。

あまり、一気に覚えようとせず、1日1問(四事例)くらいずつを最低の目安としましょう。それでも、本試験まで、まだ30日くらいありますから、今日から始めれば、120事例は覚えることになります!

理想は、コーヒーでも飲みながら、楽しんで建築雑誌でも見て、それが自然な記憶として頭の中に残っている状態をつくることです。まあ、これがなかなか難しいのですが…。

自分は、過去10年分の建築事例の問題のみをまとめてノートに書き出し、ネットでそれぞれの建築物の画像を調べて見ていました。この作業は、必ず他の勉強の合間に行い、コーヒーを飲みながら休憩の一環として行っていました。今はYouTubeでも、かなり詳しい建築事例が見られるようですので、昼食を食べながら見てもいいかもしれません。

 

学科Ⅰ(計画)(1級過去問 H28)
問 住宅の作品名(設計者)とその計画上の特徴に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  1. イームズ自邸(チャールズ&レイ・イームズ)は、再組立が可能という理念のもと、形鋼やスチールサッシ等の工業製品を用いて建築された住宅である。
  2. ゲーリー自邸(フランク・O・ゲーリー)は、既存の木造住宅に、安価な材料である金網やトタン板、ベニヤ板の破片等を組み合わせて増改築を行った、ポストモダンを代表する住宅の一つである。
  3. ヒラルディ邸(ルイス・バラガン)は、不整形敷地に建つ地上4階建ての医院併用住宅であり、台形の平面をもつ医院と矩形の平面をもつ住居は、中庭のスロープによって繋がれている。
  4. フィッシャー邸(ルイス・カーン)は、二つの矩形のボリュームが45度の角度をもって接合され、一方には2層の個室群が配置され、もう一方には2層分の高さの居間をもつ、幾何学的な構成の住宅である。

 

 

(解答・解説)
3. ヒラルディ邸(ルイス・バラガン)は、キーワードとして「パティオ(中庭)」、「食堂内のプール」、「ショッキングピンクの外観色」などが挙げられます。設問の特徴(キーワード:「4階建ての医院併用住宅」、「台形の平面をもつ医院」、「中庭のスロープ」など)は、クルチェット邸(ル・コルビュジェ)のものです。よって、誤った記述となります。

他の選択枝は正しい記述です。
よって、答えは3.となります。