されど力学

少し変則的な箇所のせん断力の求め方について考えたいと思います。以下のような問題において、よく使うのが曲げモーメントとせん断力との関係です(詳しくはコチラ)。まあ、どの教科書にも載っていることですが、この関係性を使えるようになると、力学系の問題を解く上で、大きく理解力が深まります。

H27年一級過去問 学科Ⅳ(構造)からの出題

問 下図において、BC材のせん断力の大きさを求めよ。

 

(解答・解説)

※見返してみたら、上記のΣX=0の式は今回は不要でした。
よろしくお願い致します。

合成樹脂可とう電線管の問題

先日、在校生から、RC造の授業の中で、CD管とPF管の違いについて質問がありました。在校生からこういう質問がある時点で、個人的にはよく勉強しているなあと非常に感心してしまいます。今年の試験日については、まだ不透明な部分がありますが、いずれ来たるそのときに向けて、コツコツと努力を続けていきましょう!

なお、今回は一級過去問「施工」からの紹介ですが、「構造」としても問われることがありますし、二級でも問われる内容です。

 

問 次の記述の正誤を判定せよ。

①H23年一級過去問 学科Ⅴ(施工)
コンクリートスラブに埋設する合成樹脂製可とう電線管(CD管)については、スラブの上端筋と下端筋との間に配管し、専用支持具等を用いて1m以下の間隔で下端筋に結束した。

②H25年一級過去問 学科Ⅴ(施工)
軽量鉄骨間仕切壁内に合成樹脂製可とう電線管(PF管)を配管するので、その支持間隔を1.5m以下とし、バインド線を用いて支持した。

 

 

(解答・解説)
結論からいうと、どちらも正しい記述です。
CD管はコンクリート埋設専用で、PF管は露出配管もコンクリート埋設も可能です。設問のようにPF管を軽量鉄骨間仕切壁内で使用する場合は、支持間隔を1.5m以内としますが、コンクリートに埋設する場合の支持間隔は、CD管もPF管も1m以内とします。厳密には、もっと細かくて、ややこしい規定があるようですが、建築士試験に必要な基礎知識としては、以下にまとめたようなもので十分と思われます。参考にしてみて下さい(ちょっと、それぞれの英語表記はあやしいですが)。

 

【合成樹脂可とう電線管】
○CD管(Combined Duct)(耐燃性がない)

  • オレンジ色(ほぼ全メーカー共通)
  • 自己消火性が無い(火がついたら燃え続ける)
  • PF管よりも価格が安い
  • 原則として、コンクリート埋設専用

 

○PF管(Plastic Flexible conduit)

  • 基本色はベージュ系(結構、いろんな色がある)
  • 自己消火性がある(火がついてもすぐ消える)
  • CD管に比べて価格が高い
  • 露出配管・隠ぺい部配管・コンクリート埋設が可能

用途地域の問題

建築物の用途制限に関する問題は、毎年必ず1問出題されます。難易度的にも、それほど難しくない印象です。従いまして、ここでの1点ゲットは必須となります。法規の問題を解くにあたっての、個人的な思考の流れを解説中に記しましたので、参考にしてみて下さい。

H30年一級過去問 学科Ⅲ(法規)

問 建築物の用途の制限に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、用途地域以外の地域、地区等の指定はなく、また、特定行政庁の許可等は考慮しないものとする。

  1. 第二種低層住居専用地域内において、「延べ面積650㎡、平家建ての老人福祉センター」は、新築することができない。
  2. 第一種住居地域内において、「延べ面積3,000㎡、地上3階建てのホテル」は、新築することができない。
  3. 近隣商業地域内において、「客席の部分の床面積の合計が300㎡、地上2階建ての映画館」は、新築することができる。
  4. 工業専用地域内において、「延べ面積300㎡、地上2階建ての保育所」は、新築することができる。

 

(解答・解説)
法規という教科の解き方について、どの先生にお話を伺っても、返って来る言葉は同じです。すなわち、「如何に法令集を引かずに解くか」ということです。上記の用途地域に関する問題においても例外ではありません。1.~4.の選択枝において、1つずつ全て調べていたのでは、絶対に時間が不足します。今回の設問で言えば、3.と4.は法令集を引くまでもなく、正しい記述であるということを見抜かなければなりません。確信はなくとも、正しいだろうという予測はできなければなりません。ざっくりと、それこそ「うろ覚え」で構いませんので、商業地域・近隣商業地域・準工業地域は、用途制限が甘いというイメージを持っていれば、3.の映画館は新築できることが予想できます。あと、保育所は全ての用途地域で新築可能(これは絶対暗記)ですので、4.も正しいことが分かります。

住居系の用途地域については、条件がやや細かいので、法令集を引くことになろうかと思います。
1.と2.を俯瞰してみると、語尾が「できない」になっていますので、そこに着目して考えると、恐らく建物規模が関係してるんじゃないかと予想できます。1.の第二種低層住居専用地域については、第一種低層住居専用地域と密接に関連していますから、すなわち、500㎡とか600㎡あたりに建築可能な規模の制限があったんじゃなかったかなあ。と、思えるかどうかが結構重要です。また、2.の第一種住居地域内に建築できるものとしては、第一種中高層住居専用地域と密接な繋がりがあって、建築可能な規模の制限が3,000㎡くらいじゃなかったかなあ。というイメージが即思い浮かぶかどうかが大事です。

結論からいうと、答えは2.となります。第一種住居地域に、延べ面積3,000㎡以内のホテルは新築可能です。詳しくは、別表2をご確認下さい。

結局のところ、法規も他の教科と同じように(法令集を引かないで)解く訓練が必要ということです。ただし、法規においては、法令集を見ることができるので、曖昧な記憶を補えるという点で高得点を狙える教科です。

※今さらの話になってしまいますが、法令集は最新版のものを使いましょう。ここ数年は、内容が結構ころころ変わっていますので、注意が必要です(特に耐火関係)。

 

製図試験でも使える計画の問題

製図試験では、面積を適宜とした要求室が結構ありますので、自分でおおよその室の大きさを考えなければなりません。その際、下記のような室面積における数値的な考え方が必要となります。今現在、製図試験の勉強をされている方も、力試しに是非解いてみて下さい。

H22年一級過去問 学科Ⅰ(計画)

問 建築物の各部の寸法及び床面積に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 劇場において、車いす使用者用客席スペースを出入口に近い部分に設け、車いす1台当たりのスペースを幅90cm、奥行き120cmとした。
  2. 事務所において、ロの字形に机を配置する会議室(収容人員20人程度)の広さを、3.6m×7.2mとした。
  3. 図書館において、書架のない閲覧室(4人掛けで100席)の床面積を、180㎡とした。
  4. 洋食レストランにおいて、客席部分(50席)の床面積を、80㎡とした。

 

(解答・解説)
極めて個人的な見解になってしまいますが、一人(又は一席)あたりの必要床面積が問われた場合は、以下のように考えて問題ないと思われます。

  • 映画館・劇場の固定席の場合は、かなり狭くてもよくて、0.5㎡~1.0㎡弱(通路含む)。
  • レストランの客席は、ほぼ1.5㎡。
  • 図書館の閲覧席は、ざっくり1.5㎡(ちょっと小さ目ですが)。
  • 会議室は、ズバリ2.0㎡(最小値)。

これらの数値を当てはめて計算してみると、2.の選択枝が最も誤っています(答えは2.)。すなわち、会議室で収容人員が20人なので、最低でも20人×2=40㎡必要ですが、室面積が3.6m×7.2m≒26㎡ですから、狭いことが分かります。なお、本試験では、電卓を使えませんから、意外と3.6×7.2のようなかけ算がやっかいです。こういう場合は、ざっくり4m×7m=28㎡と計算しても全く問題ありません。

他の選択枝を考えてみると、3.の図書館は100席×1.5=150㎡必要となりますから、室面積180㎡は妥当ですし、4.のレストランは50席×1.5=75㎡ですから、室面積80㎡は適当ということができます。1.は、そのまま覚えてしまいましょう。