用途地域の問題

建築物の用途制限に関する問題は、毎年必ず1問出題されます。難易度的にも、それほど難しくない印象です。従いまして、ここでの1点ゲットは必須となります。法規の問題を解くにあたっての、個人的な思考の流れを解説中に記しましたので、参考にしてみて下さい。

H30年一級過去問 学科Ⅲ(法規)

問 建築物の用途の制限に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、用途地域以外の地域、地区等の指定はなく、また、特定行政庁の許可等は考慮しないものとする。

  1. 第二種低層住居専用地域内において、「延べ面積650㎡、平家建ての老人福祉センター」は、新築することができない。
  2. 第一種住居地域内において、「延べ面積3,000㎡、地上3階建てのホテル」は、新築することができない。
  3. 近隣商業地域内において、「客席の部分の床面積の合計が300㎡、地上2階建ての映画館」は、新築することができる。
  4. 工業専用地域内において、「延べ面積300㎡、地上2階建ての保育所」は、新築することができる。

 

(解答・解説)
法規という教科の解き方について、どの先生にお話を伺っても、返って来る言葉は同じです。すなわち、「如何に法令集を引かずに解くか」ということです。上記の用途地域に関する問題においても例外ではありません。1.~4.の選択枝において、1つずつ全て調べていたのでは、絶対に時間が不足します。今回の設問で言えば、3.と4.は法令集を引くまでもなく、正しい記述であるということを見抜かなければなりません。確信はなくとも、正しいだろうという予測はできなければなりません。ざっくりと、それこそ「うろ覚え」で構いませんので、商業地域・近隣商業地域・準工業地域は、用途制限が甘いというイメージを持っていれば、3.の映画館は新築できることが予想できます。あと、保育所は全ての用途地域で新築可能(これは絶対暗記)ですので、4.も正しいことが分かります。

住居系の用途地域については、条件がやや細かいので、法令集を引くことになろうかと思います。
1.と2.を俯瞰してみると、語尾が「できない」になっていますので、そこに着目して考えると、恐らく建物規模が関係してるんじゃないかと予想できます。1.の第二種低層住居専用地域については、第一種低層住居専用地域と密接に関連していますから、すなわち、500㎡とか600㎡あたりに建築可能な規模の制限があったんじゃなかったかなあ。と、思えるかどうかが結構重要です。また、2.の第一種住居地域内に建築できるものとしては、第一種中高層住居専用地域と密接な繋がりがあって、建築可能な規模の制限が3,000㎡くらいじゃなかったかなあ。というイメージが即思い浮かぶかどうかが大事です。

結論からいうと、答えは2.となります。第一種住居地域に、延べ面積3,000㎡以内のホテルは新築可能です。詳しくは、別表2をご確認下さい。

結局のところ、法規も他の教科と同じように(法令集を引かないで)解く訓練が必要ということです。ただし、法規においては、法令集を見ることができるので、曖昧な記憶を補えるという点で高得点を狙える教科です。

※今さらの話になってしまいますが、法令集は最新版のものを使いましょう。ここ数年は、内容が結構ころころ変わっていますので、注意が必要です(特に耐火関係)。

 

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