合格しやすい人

引き続き、今年の課題についての検証を行っています。

残り2週間半となりました。
一級建築士製図試験の初受験の方にとっては、あまりにも覚えるべきことが多く、本当に大変だと思います。特にエスキスについては、個人では、なかなか実力が付いていることを実感出来ずに、焦りを覚える時期かもしれません。

ですが、もしも、ここまで全力で勉強してきた自負があるのであれば、全く焦る必要はありません。ネット講座や各資格学校の講師の方々の共通の認識だと思いますが、製図試験の実力は、最後、急激に伸びます。

学科試験であれば、勉強したことが比較的すぐに効果として表われるのですが、製図試験の勉強の効果は、必ず遅れて出て来ます。

従いまして、毎日コツコツと努力に努力を重ねて来たのであれば、最後、絶対に効果として表われるはずですので、何とか諦めずに頑張って下さい。

練習課題における成績が全く上がらず、「ちょっと今年は厳しいかもな」と思われた受験生が、最後の最後で急激に実力を開花させて、見事に本試験で合格をつかみ取る様を、過去に幾度となく見て来ました。

明らかに、合格しやすいタイプの人がいます。

極めて個人的な見解を以下に述べます。

(合格しやすい人)

  1. 素直
  2. 努力家
  3. とりあえずプライドを捨てている
  4. とにかく質問する
  5. やるべきことをやる

正直なところ、一番大事なのは、3.だと思っています。
「合格しにくい人」は、何て言うか、自分もこういう時期があったんで分かりますが、質問することが「かっこ悪い」と考えていたり、「間違って恥をかくことを恐れて」いるふしがあります。合格するためには、なりふり構ってはいられないはずです。まずは、そこに気付かなければなりません。とにかく、課題を解いて、添削してもらって、修正して、復習して、また新しい課題を解いて、添削してもらって、修正して、復習して…、の繰り返しです!

とにかく、自力で解いた課題を提出して、添削してもらわないことには、実力は絶対に身に付きません!

以上、上記5項目全てに当てはまる場合は、99%の確率で、今年、合格すると思います。

一級建築士製図試験について思うこと

改めて、今年の一級建築士製図試験の課題について検証していますが、今年って基準階なんすかね?

3階建はもちろん、4階建も可能性としては残る課題発表のされ方ですよね。

あるいは2階建とか?

いずれにしても、個人的に思うことは(ウラ指導で習ったことですが)、建築可能範囲の検討やプログラム図の検討が終わって、各階のボリュームバランスのチェックの後、個室や住戸がある階からチビコマ・倍コマを考え始めることに、変わりはないということです。

住戸の数と各室面積によって、X方向・Y方向それぞれのスパンがほぼ決まります。あと、コアの位置も、ある程度決まることが大きいですね。低層階でのプランニングを考える際、コアの位置の目星が付いている事態は、相当デカいことです。

話は変わりますが、今の時期、ほとんどの受験生のみなさんは、エスキスメインの学習をしていると思います。それで、間違いはありません。間違いはないのですが、エスキスができるようになったからと言って、合格できるわけではないところが、この試験の難しいところです。

自分は、そのことに心から気付くのに、長い年月を要しました。

すなわち、描き損じなく完成させるということです。

まあ、当然のことです。

しかし、意外にも、ここを軽視している受験生は多いと思われます。

極論を言えば、プランなんて今一どころか今二でもいいくらいです。

よく、便所が南側に配置されることを必要以上に気にされる方がいますが、ぶっちゃけ、どうでもいいです。もちろん課題文にもよりますが、基本的に、住宅ではないので、課題ごとの周辺環境を第一に考えましょう。その結果、便所を南側に配置することがNGなのであれば、それに従って下さい。OKなのであれば、配置して下さい。ただ、それだけです。そこそこのプランを、よりよくする必要はないのです。

そこそこのプランを如何に描き損じなく、完璧に描き上げるかということが、最終的に、最も大切なこととなります。

室名の抜けや面積の記入ミス等々、たった一文字のミスや線一本の記入ミスで、落ちる試験なのです。逆に言うと、一切の描きミスがない図面は、減点のしようがありません。そこそこのプランでいいのです。つまり、とりあえずクライアントの要求に応えた叩き台としての図面でいいということです。

叩き台としての図面を、一切の描き損じなく仕上げることができれば、合格です(あと、記述も、個人的には、そこそこでいいと思っています)。

建築物の配置計画の重要性

何か前にも同じようなことを書いたような気がしますが、建築可能範囲の検討をすることは、本当に重要です。いろんなエスキスの仕方(手順)はあると思いますが、個人的には一番最初に建築可能範囲を考えます。

建築可能範囲を検討することで、スパン割のヒントになることが多々あります。H23年やH27年の過去問を重点的に、その他の年度の標準解答例における敷地と建築物との関係を調べてみることも、エスキスが上手くなる上でお勧めです。

極めて個人的な経験則ですが、エスキスが上手くなるきっかけは、実は、この建築可能範囲の計画の重要性を、ちゃんと意識することなのではないかと思っています。エスキスが上手く行かず、悩んでいたかつての自分を振り返ってみると、一応、手順を踏んで、表面上はエスキスをしているように見えても、本当の意味で中身を全く理解していませんでした。

何のために行っている検討なのか、次に何をすべきなのか、何を検討しなければならないのか、全く分かっていなかったと思っています。

しかし、ふとしたことをきっかけに、建築可能範囲って、めちゃくちゃ重要なのではないかと思うようになり、その時から、ようやく「意識して」検討するようになったと記憶しています。

ここから、芋づる式にエスキスの全貌が見え始めたというか、チビコマや倍コマで行う検討が、何のために行っていて、どういうふうに繋がっているのかということが分かりました。

つまり、覚醒したんだと思います。

この覚醒という感覚が、どういうものなのか、卒業生からよく聞かれるのですが、なかなか上手く説明できないでいます。

簡単に言うと、チビコマゾーニングと倍コマが連動しているということを理解し、これらの過程を双方に自由に行き来でき、その上で、どんな課題だとしても、それなりに1/400のプランニングを完成させられるという感覚です(あまり簡単じゃないですね)。

個人的に、その覚醒の感覚を掴むきっかけが、建築可能範囲の重要性を心から意識して行うことだと考えています。意外と初めのうちは、ここを軽視しがちです。敷地よりも、平面の計画に心が行ってしまいます。

しかし、結局、建築可能範囲を検討していないと、後で、駐車・駐輪スペースが確保できないことが発覚したり、一番恐ろしい建築面積オーバーとなったりしてしまいます。

やっぱり、一番にすべきは、建築物の配置計画、すなわち、建築可能範囲の検討だと、自分は思います。

参考にして頂ければと思います。